サンビャクキュウジュウゴ話 第三者視点 ページ3
その言葉にAらしき人物は目を少し見開き、だが直ぐに困ったように笑っていた。
否定も肯定もしないが、明らかに肯定とも取れる苦笑いに大河は更に問おうとするがディルムッドによってやんわりと離れるように促された。
不貞腐れたように大河はディルムッドを睨んでいたが、鼻腔を掠めた香りに瞬時に思考を別の所へとおいやったのである。
「ッ! この香ばしいごま油の匂い……まさかこれは! おつまみの香り!」
香ばしい匂いによって大河の思考からAの違和感が消え去り、直ぐに三大欲求の一つである食欲に支配されキッチンの方へと足を向けたのだった。
残されたAらしき人物はディルムッドの手を借りて起き上がり、訝しげに見下ろしてくるディルムッドに対して説明をと口を開けば、タイミング良くも悪くも冷えた水を持ってきたセイバーによってその正体を明かされることとなった。
「A、……ではないな。オルレアンの乙女だろうか」
「『! 流石、最良クラスであるセイバーですね。御名答です』」
直感スキルを持つセイバーゆえに直ぐに気付けたのだろう。
姿勢を正したAらしき人物──オルレアンの乙女ことジャンヌ・ダルクはセイバーとランサーを見て、キッチンでつまみのつまみ食いしようとしている大河とそれを阻止しようとしている士郎と桜と凛を見て、ようやく改めて話すことが叶う。
「『約二週間振りです、お二方。お元気そうでよかった』」
「何故、オルレアンの聖女かA様の顕在意識に現れている? A様はどうされた」
「『御安心ください第四次のランサー。Aは酔いが回ってしまい、深く眠っております』」
「だとしても、何故現れた?」
「『それは、第四次のランサーがAの唇を奪うのではないかと思い心配になりまして』」
「……」
「『冗談です』」
悪戯っ子のように笑ったジャンヌはセイバーが持ってきた水をもらうと飲む。
ゴクリゴクリと喉が動き、嚥下。
顔は少し赤いがそれでも酔いを冷ますには丁度いい具合だった。
「『私が現れた理由はAの代わりに彼女の飲みに付き合うことです』」
ドヤ顔で言う言葉にディルムッドもセイバーも一瞬目が点になっていた。
「『眠る前まで、Aは彼女の期待に応えようとしておりました。しばらくお会いできないため、どうにか起きておこうとしていたみたいなのですが志半ばで眠ってしまったので、ならば私が代わりにと思った次第です』」
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2022年11月2日 22時