橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのキュウ (ページ19)

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ヨンヒャクジュウイチ話ページ19

妹属性とは何か、と考えること少し。

そのお陰かアサシンに避けられていることに対して少しだけ気が紛れた。

タイガがあえてそうしてくれたのか、それともただ心のまましてくれたのかはわからないけど。

個人的にタイガなら後者かなと思っている。

「む、何かAが私に対して失礼なこと考えているような気がする」
「いいえ。タイガは素直で素敵な方だなと思っていただけですよ」
「あははは！またまたー！そんなこと言ってはぐらかそうとしたってそうはいかないぞー！」

と言いながら背中を叩くので痛いと少しばかり主張を。

やんわりと止めてくれたセイバーに感謝を一つ。

「そういえばA、あの二人はどうされたのですか？」
「……。あ！」

セイバーの問いに、思わず二人を忘れていたことを思い出す。

なんとなくだけど、リンちゃんとサクラちゃんから呆れたような目線をもらっている気がするけど。

「場所はわかりますか？」
「確か、売店らしきものが近くにあったような気がします」
「売店……」

シロウ君が困り顔になってしまった。

確かに、売店と言われるとあちらこちらにあるのでしらみ潰しで探していると搭乗時間に遅れてしまうかもしれない。

どうしたものかと考えていれば、はぁと深いため息がリンちゃんの方から聞こえてきたため少しだけ申し訳なく思ってしまう。

「とりあえず、後ろを振り向いてみたら？貴女の知り合いが貴女のこと凝視してるわよ」
「え」

そう言われて振り返ってみると、必死の形相のランサーの顔がドアップにあって思わず喉から悲鳴が漏れ出そうになるのをどうにか押し留めた私は偉いはず。

「ようやく見付けたましたよA様！」
「ら、ランサー」

聞けば私の後を追ってきたようだけど途中で見失ったあげく、旅行帰りのミセスの人達に囲まれて大変だったらしい。

特に魅了(チャーム)封じが外れている、壊れている、発動していない、等といった不具合はなく。

ただランサーの顔立ちがイケメンだから声を掛けられたのだと思うのだけど当の本人はかけ直してほしいと、目で訴えてきている。

「えっとランサー、落ち着いてください。特に不具合もありませんので」
「ですがA様ッ」
「ディルさんイケメンだからじゃない？」
「シロウ、たい焼きのおかわりをお願いします」
「これで最後な？」
「桜、何か食べたいものがあるのなら遠慮なく衛宮君に言うのよ」
「いえ……」

皆さんフリーダムな気がする。