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ヨンヒャクハチ話を ページ16

リンちゃんとサクラちゃんは私の手を取った時に少しだけ表情が曇ったように見えたけど、直ぐにお礼を言ってくれたのできっと気のせい。

セイバーとランサー、あとシロウ君は自身の力で立ち上がったのを見て、それから何故か期待に満ちた目で私を見てくるタイガにそろそろ空港に向かうことを告げると、カッと目を見開いて詰め寄ってきた。

「え」
「うっそでしょ!? もうちょっと時間あるとばかり!」
「ご、ごめんなさい。私もそうとばかり……」

もう少し、それこそ猶予に数時間はあるとばかり思っていたけど、どうやら時間の流れは予想以上に早く流れてしまったみたい。

タイガに謝って、セイバーにお願いして寝起きをした二階の部屋に行き、布団を綺麗にしてから畳んでから急いで玄関へと戻る。

鞄を持ち、グレイちゃんからもらったマフラーと手袋をして、それから五人に向き直って、それから。

「別れの挨拶はあと! 今タクシー呼んだから、空港でまた会うわよ!」
「……」

既に外出の準備をしているタイガ達がいて、見送りにきてくれることを理解する。

そういえば見送りに行くと先日言ってくれていたような、違ったような。

どちらにしても、いつまでもウェイバーさんを外でお待たせする訳にはいかないのでまたあとでと伝えてからランサーと共に外へ。

外へ出るとウェイバーさんはどこかへと電話をしていたらしい。

こちらを一瞥すると直ぐに向かうと一言の告げると電話を切られた。

「すみませんウェイバーさん、大変お待たせしました」
「いや、気にしなくていい。と、言いたいが少し急いだ方がいい。予定より遅れている。マッケンジー夫婦が空港へ送ってくれるので、集合場所まで向かうぞ」
「わかりました」

頷き、ウェイバーさんが持ってくれているキャリーケースを持とうとすれば断られ、でも直ぐにランサーがウェイバーさんからキャリーケースを持っていた。

「俺が持とう、元ライダーのマスター」
「……。わかった。行こうかA」
「え、あ、はい」

手を差し出され、エスコートされるのだと理解したので手を差し出す。

一瞬だけランサーから怖い雰囲気を感じたけど、急ぐとウェイバーさんが言うため彼に手を引かれるままエミヤ邸を出ることに。

門を出たところでランサーが付いてきていないことに気付いて、振り向けばなんとも言えない表情の彼が私をじっと見ていた。

「ランサー?」

呼ぶとはっとしたような表情をして慌てて私の後へ付いてきてくれた。

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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/  
作成日時:2022年11月2日 22時

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