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ヨンヒャクヨン話 ページ12

「毛布にくるまれていたとはいえ身体が冷えていたので暖かい飲み物を飲ませたのですが、震えが止まらなかったために解散となったのです」
「そうだったのですね」

そんなことがあったのか。

昨日のことを話してくれた二人にお礼をいえば、セイバーに手を引かれる。

そうだった、シロウ君のご飯だった。

やや早足で冷たい廊下を進めばリビングから漂ってくる美味しそうな香りに、ついお腹が空いてしまう。

襖をスライドさせて開けてくれたランサーにお礼を言って、中へと入るとテーブルに並ぶ色とりどりなご飯にとうとうお腹が鳴ってしまった。

「わかるわかるー。士郎のご飯を前にしたら凄くお腹空いちゃうわよねー。そしておはようA」
「ようやくね」
「おはようございますAさん、どうぞ座ってください。ご飯と味噌汁を入れてきます」
「お手伝いします、先輩」

既に着席していたタイガとリンちゃん、シロウ君とサクラちゃんは席を立つとキッチンの方へと歩いて行った。

朝の挨拶をタイガとリンちゃんとシロウ君に返しつつ、シロウ君のいう通りいつもの席に座り、ランサーも私の隣に座る。

セイバーもいつもの席に座ると、キッチンの方からお椀とお茶碗と呼ばれるボール皿のようなものを両手に持ったシロウ君が私の元へと来て手に持つ二つの皿を置いてくれた。

お礼を言えばにこりと笑ってくれてシロウ君も席に着き、遅れてサクラちゃんも席に着いた。

両手を合わせて、全員でいただきます。

せめて最後ぐらいはお箸で食べようと努力するのだけど、惨憺たる結果になってしまったため泣く泣くスプーンとフォークで食べることに。

「こぼしてしまって、すみません……」
「気にしないでくださいAさん」
「次こそ綺麗に持てるようにすればいいことですよ、A」

シロウ君とセイバーの優しい気遣いに少しだけ気持ちを取り直した。

イギリスに戻ったとしてもおはしの使い方の練習はしよう。

ついでに兄家族にも普及させようと思う。

あと。

「……シロウ君」
「? どうかしましたかAさん」
「やっぱり、一緒にイギリスへ戻りませんか?」

途端にランサーとシロウ君以外の全員が私に対し殺気だった目で見てくる。

「お誘いは嬉しいんですけど、まだ俺は学生なんで遠慮しておきます」
「では、留学という形はどうですか? ホームステイ先にエルメロイが所有するアパートを提供させていただきますし、留学にかかる費用も私が持ちますので」

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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/  
作成日時:2022年11月2日 22時

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