橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのゴ

ニヒャクサンジュウヨン話 ページ39

翌朝、起こしにきてくれたセイバーによって私とアサシンは怒られてしまった。

「いいですかA。いくらサーヴァントといえ同衾はいけません」
「……はい」

何やら騒がして目を覚ませば怒っているセイバーと、慌てて弁明を図っているアサシンがいて。

どうしたのかと問えばセイバーによってアサシンと一緒に添い寝をした事に対して怒られている、らしい。

そして、私も怒られ始めている。

なお、正座のためそろそろ足の感覚がなくなってきているので解放してほしいというのが私の切実な願い。

「セイバー、マスターも俺も反省しているからそろそろ足を崩すことを許してやってくれ」
「いいえ」

これほどまでセイバーの発言が恐ろしいと思ったのは後にも先にもこの時のみだと思う。

いつまでもリビングに来ない私達を気にしたシロウ君が呼びにくるまで、セイバーによる倫理感の説明をアサシンと共に受けていた。


閑話休題。


一度着替えてからシロウ君による美味しい朝食を食べて、今日はライスと味噌スープと小魚とだし巻き卵というものだった、昨晩話した通りアインツベルンの城へと向かう。

木製の剣、木刀というらしい、を専用のバッグに入れたシロウ君はやる気に満ちていた。

天気は晴れ、気温も冬にしては寒くなく。

そこまで厚着しなくても問題ない気候だった。

グレイちゃんからいただいたマフラーだけをして、手袋はバッグの中へと仕舞う。

「準備はよろしいですか？」

私服に身を包んだセイバーの声に、私もシロウ君も了承の意を告げる。

ーーオレも問題ない。
ーー同じく、俺も問題ない。

ランサーもアサシンも準備はできている。

出発をするシロウ君とセイバーの後ろを付いていく。

いったいどういう理由で赤いアーチャーがリンちゃんを連れ去ったのか不明。

そしてシロウ君を殺そうとする理由も、不明。

柳洞寺の時もそう。

あの赤いアーチャーはシロウ君を殺そうとしていた。

二人の間にどういう関係があり、軋轢があるのかわからない。

考えてもわからない。

「……」

わからないことが増えていて正直、気持ち悪い。

答えは必ずあるはずなのに全くもって解答が見えてこない。

見えたと思った瞬間に蜃気楼のように消えていってしまう。

ランサーとアーチャーが未だに現界している原因も。

赤いアーチャーがシロウ君を殺そうとする原因も。

第五次のランサーがバゼットさんのことを話さない原因も。

真相がわからない。

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