ニヒャクサンジュウサン話 ページ38
いつのまにか目線を下げていた私はアサシンに名前を呼ばれて彼の方を向けば、アサシンは困ったような表情をしていた。
「正直言って、俺から言えることはあまりない。なんせ知っての通り、俺は後悔ありまくりの選択をしたからな」
「……」
「だが、ただ一つだけ言えることはある」
人差し指を立てた手が私の目線の先に現れる。
「俺はアンタを死なせるつもりは毛頭ない。もしアンタが死を選ぶ選択をすれば、何度も言っているが手足の骨を折ってでも無理矢理止めて、生かす」
「……それは」
それは、私のことを尊重してくれないということだろうか。
あえて口には出さなかったけど、アサシンは私の考えをわかっているかのように相変わらず困り顔だった。
「基本は尊重したいがそれとこれとは別だ。生死が関わるなら俺は迷わずアンタが生きる方を取る」
「アサシンが、消えてしまってでもですか?」
「……そう、だな。流石にそうならないように回避したいけど、もしそういう状況に陥った場合は俺が消えてもアンタを生かす選択をするさ」
自己犠牲、という言葉が出てくる。
誰かが私にも言った言葉だった。
どうしてアサシンが私の声に応えてくれたのか、少しだけわかった気がする。
確かに私と
「だから、そうならないように判断してくれな? A」
「……善処します」
最悪な状況にならないことを祈るしかない。
ランサーが私やアサシンを敵対しなければ、私やアサシンを傷付けなければ、何も危惧することはない。
だけど悲痛そうな声で私を呼ぶランサーの声を思い出して、胸が締め付けられそうに痛くて苦しい。
「アサシン」
「ん?」
「少しだけ、手を握ってください」
心の痛みから
だから優しいアサシンに、頼った。
「いいよぉ」
笑みを浮かべたアサシンは左手で、彼の令呪がある右手を確りと握ってくれる。
「ありがとう、ございます」
「どーいたしまして。もう寝なマスター」
「はい……」
目を瞑るとどうしても考えてしまう。
だから大丈夫だと、何度も言い聞かせた。
きっと大丈夫、きっと考えているようなことは起こらない。
きっと、きっとランサーも、私達に牙を向くことはなく。
もしかしたら味方になってくれるかもしれない。
そう、きっとうまくいく。
希望的観測を胸に抱いて、私は眠りに就いた。
夢は見なかった。
ラッキーアイテム
鳳凰の羽根
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
ラッキーサーヴァントクラス
シールダー
186人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翔べないペンギン(プロフ) - 亜流乃さん» コメントありがとうございます。そうなのです。ようやくお互いある種の再開ができましたので。どうにか完結できるように尽力しますのでお付き合いいただけますと幸いです。ジャンヌになるのも気に入っていただけて嬉しいです(照) (2021年3月26日 19時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
亜流乃(プロフ) - やっとランサーと!!!!!!!!!こういうチュエーション待って ました!ここまで書いて下さりありがとうございます!これからも応援してます!あと、ジャンヌになる展開も好きです(笑) (2021年3月25日 21時) (レス) id: bff6baca0f (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ありなさん» お待たせしてしまい申し訳ありません。先行きも少々不安ですが持続できるように努めます。コメントありがとうございます。 (2021年3月19日 18時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
ありな - 続編おめでとうございます!凄く嬉しいです! (2021年3月18日 19時) (レス) id: 0b757b95a3 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ロゼファさん» お待たせいたしまして申し訳ありません。持続できるように頑張りますね。コメントありがとうございます。 (2021年3月13日 16時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2021年3月12日 1時