橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのゴ

ニヒャクニジュウヨン話 ページ29

「動けない士郎をなおも殺そうとするアーチャーなのですが凛の機転により、凛と私は再契約したためどうにか士郎を守ることはできました。ですが、凛は一瞬の隙を突いたアーチャーによって連れ去られてしまったのです」

セイバーによってリンちゃんがいない説明を受けた。

何故赤いアーチャーはシロウ君を殺そうとするのか。

何故Mr.クズキを殺したのか。

「あいつは、言っていました。古城で待つと」
「古城？」

士郎君が言う古城といったら。

「アインツベルンの城だろうな」

私が答える前に、第五次のランサーが答えてくれた。

あの赤い目が特徴的なアインツベルンの少女を思い出して、ギリシャの大英霊であるヘラクレスの姿を思い出して、話し合うのは骨が折れそうだと思いながら一つの矛盾に気づく。

古城の主がいるのに、どうやって待っているのだろうか。

「マスター、あのバーサーカー陣営は全員死んだ」
「！」
「マスターが言っていた、第四次のアーチャーによってな」

目を剥く。

アサシンの方を見て、シロウ君とセイバーの方を見てた。

三人とも、なんとも言えない表情をしていた。

どうして聖杯戦争に関わる人達は、命を散らしてしまうことが多いのだろう。

叶えたい願いがあったのかもしれないけど、それでも死しても叶えたい程の願いなのだろうか。

こういうところが、よく兄に魔術師らしからない思考だと言われるけど。

死を前にしたら、儚い願いだと思えないのだろうか。

少し暗くなる空気を払拭するように、第五次のランサーがで？ と問う。

「とりあえず坊主とお姉ちゃんのお互いの状況把握は大まかに済んだ。これからどうするんだ？」
「もちろん遠坂を助けに行く」
「凛は私の今のマスターです。助けない道理などない」

セイバー陣営は、今はシロウ君はマスターではないけど、意志が固まっていた。

どうする？ と視線で訴えてアサシンに少し考えた。

リンちゃんにはとてもお世話になったから助けない理由はない。

恩を仇で返すのはエルメロイの沽券に関わることになるから。

でも、少し心配事がある。

どうして今更になって、彼(か)の人類最古の王は動き始めたのか。

それ以前に、どうして第四次聖杯戦争にて召喚されたランサーとアーチャーが未だに現界しているのか。

二人の共通点としては、嫌なナニカより流れ出た黒い泥に飲み込まれたことしかない。

あの泥が原因、なのだろうか。

様々なものを燃やし、壊し、奪った禍根。

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