橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのヨン

ヒャクキュウジュウロク話　第三者視点 ページ50

剣戟と剣戟が交わる。

激しい程の武器と武器とのぶつかり合いに剣が交わる度に影の中で火花が飛び散る。

「気を確り持てセイバー」
「……」
「っち、面倒な……」

無機質に、ただ機械的に刃を振るうセイバー。

だが、心持ちその刃に迷いがあるのは彼女も必死にキャスターの呪縛を抗っているためだろう。

双剣を遠くへと弾き飛ばされたアーチャーは詠唱も無しに再度同じものを投影し、投げた。

そして同時にアーチャー自身も駆け出す。

もちろんその両手にはまた同じ双剣が握り締めてあった。

セイバーの目前にて一度屈むと下から右の刃を一突き。

左足を一歩下げることでセイバーはアーチャーの攻撃を避けた。

一撃目が避けられることはアーチャーも予測していたのだろう。

二撃目、三撃目、と流れるような剣捌きでセイバーへと攻撃をしかける。

しかし、流石は最優クラスのセイバー。

掠り傷程度しかアーチャーの攻撃は当たっていない。

長期戦を覚悟しなければならないだろうが、そうも言っていられない現状。

骨の一本や二本を奪うぐらいせねば、逆に此方が骨の一本や二本を持っていかれかねない。

多少の奥の手は必要か。

アーチャーが二対の剣を消し、別の武器を投影しようとした。

その時である。

「！」

壁が突き破られる音が周囲に響く。

そちらを見て、アーチャーは舌打ちを一つ。

「あの馬鹿がッ」

士郎が相手をしていたはずの葛木が、ネクタイを整えて一人立っていたのだ。

「っ士郎！」
「あら？ 余所見？」
「リンちゃん！」

音に気を取られた、いや士郎のことゆえに気を取られた凛に向かって魔術が放たれる。

咄嗟にリンを庇うが、衝撃を殺しきれなかったのか。

士郎が飛ばされたであろう方向に彼女も吹き飛ばされてしまった。

勢いが良さ過ぎたのだろう、壁を突き破り外へと出るが、先に外へと放り出されていた士郎によって受け止められた。

「っ大丈夫ですか!?」
「あ、ありがとうシロウ君」

無事に下ろしてもらうと、彼女は直ぐに廃墟内へと戻るために足を動かす。

今の状況下は、確実に不利な方へと傾いているのだから。

士郎も彼女の後に続くように走り出した。


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お話がいっぱいになりました。

大変お待たせしてしまい申し訳ありません。
続編が出来ましたので下のリンクよりお進みください。
今後とも『橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み』をよろしくお願いいたします。

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