ヒャクハチ話 ページ12
遅いから泊まっていったらというシロウ君の申し出を丁寧に断って、お手洗いだけ借りた。
「もう夜中です、女性の一人歩きは危険です」
「一人じゃないので大丈夫ですよ?」
「え?」
「頼もしいボディーガードがいますから」
気温が下がって吐く息が白い玄関口で心配げに言うシロウ君と、彼の肩越しに此方を見てくるサクラちゃんにそう言って背を向けた。
「むしろ未成年のお方を、このような時間帯に出歩かせては私の方がタイガに怒られてしまいそうです。だから気にされないでください」
「ですが」
「御馳走様でしたシロウ君サクラちゃん、おやすみなさい」
「あ! Aさん!」
家を出て、帰路を歩く。
後ろから追い掛けてこようとするシロウ君の声と、シロウ君を引き止めるサクラちゃんの声にそのまま説得をお願いしよう。
顔が半分隠れるくらいマフラーを巻いているので隠れている部分は寒くないけど、やはり寒いものは寒い。
ーーなぁマスター。
夜中ともあって人通りは皆無のため、極力街灯の下を歩いていればアサシンが念話で尋ねてくる。
「(はい、どうしましたかアサシン)」
ーーあの遺影の奴と何かあったのか?
「(殺されかけました)」
ーーは?
少し省略し過ぎた。
「(彼は第四次聖杯戦争のセイバーのマスターでした。ランサーのマスターだった兄を彼は何度も殺そうとして、その過程で私も二度程殺されかけました)」
ーーなるほどな。
点々と続く街灯の明かりに照らされた一本道をふらつく足取りで歩きつつ、十年前のことを思い出す。
過去のことだからと水に流せる、訳ではないけど。
結果的に兄もソラウさんも生きているから、私はキリツグ・エミヤのことを恨んではいない。
なので彼に対しては特に何も思っていない。
でも亡くなっていたことには少し驚いてしまったけど。
ーーつーことはあんまりマスターにとって良い思い出の相手ではないんだな。
「(特にどうとも思っていないのですが、まぁそうですね)」
ーーどうするんだ? 義理の息子とは知らなかったとはいえ、今はなかなか親しい関係だが今後も継続するのか?
「(継続です)」
無論継続である。
キリツグ・エミヤの義子であるシロウ君だけど、それはそれ、これはこれである。
例え彼が魔術師だったとしても、今回の聖杯戦争に参加しない限り関係性を変えるつもりは毛頭ない。
ーーぶっちゃけあの坊主の飯が美味しいからだろマスター。
「(はい!)」
美味しいご飯には罪はない。
ラッキーアイテム
鳳凰の羽根
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
ラッキーサーヴァントクラス
シールダー
147人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翔べないペンギン(プロフ) - らんらんさん» コメントありがとうございます! お褒めに預かり、応援いただき、目から汗が出るほど嬉しいです。どうぞ続編の方もよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月25日 21時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
らんらん(プロフ) - とっても面白いです!いつも楽しみながら読んでいます!続編も頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 9ff20dca42 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 甘い缶詰さん» 一気に拝読いただきありがとうございます! そう言っていただけて非常に嬉しいです。これからも楽しんで拝読いただけるように尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月6日 19時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
甘い缶詰(プロフ) - 初めまして!前作から一気読みしました。正直言って面白すぎて、最高です(語彙力皆無)。更新頑張ってください! (2020年9月6日 14時) (レス) id: b8e62b7458 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ゼラチンさん» コメントありがとうございます。御拝読いただき感謝しかありません。お気遣いもいただき、目から汗が吹き出ております。ゼラチンさんもお体にはお気をつけ下さいませ。 (2020年8月30日 9時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年8月7日 20時