ヒャクニジュウナナ話 ページ31
必死に結界の維持をしていればセイバーが抜刀のような構えをする。
あれは、十年前埠頭での戦いでランサーにしたものだと直感的にわかった。
流石に一点集中で攻撃されたら、この結界を保つことは私では到底できないだろう。
どうする、と考えていれば月光が一瞬だけ隠れた。
見上げると上から見知った背中が落下してきている。
「!」
「っち、行かせちまったか……」
「あ、アサシン!」
砂埃を上げて踊り場に落下してきたのはアサシンであった。
多少の怪我をしているものの、霊基には異常なさそうである。
ほっと息を吐いている束の間。
「はぁあ!!」
「っ!?」
一瞬の隙を突いて、セイバーが通常の振りで結界の牢を壊したらしい。
ガラスが割れるような音と、空中に漂う結界の残留と共にセイバーは柳洞寺へと駆け出し始めるけど。
「おっと、そうはいかねぇぜセイバー」
「ぐっ!」
即座に起き上がったらしいアサシンが、セイバーの背中に目掛けて拳を振り落とそうと跳躍した。
察知したのか、セイバーは身を
アサシンも一撃目は受け止められることを想定していたのだろう。
身体を捻るとセイバーの後頭部目掛けて蹴りを繰り出す。
直撃したのか、セイバーは片膝を付いて踊り場へと戻っていた。
「へぇ、避けたのか。流石セイバーだこって」
「あ、アサシン大丈夫ですか?」
「なんとかな。マスターの方もギリギリなんとかなってるみたいだな」
一段一段降りてくるアサシンは陽気に私の質問には答えるけど、目線はセイバーから外さない。
どうやらアサシンの言い分から察するに、セイバーは彼の攻撃を回避したみたい。
常人の動体視力しか持たない私が見えないことは当たり前のことである。
再び見えざる剣を構え直したセイバーは、低く唸るように言葉を発した。
「……そこを退け、アサシン」
「言ったろ? ここの門番だって。門番の仕事は門を守るこった。生憎それはできねぇ話だ」
踊り場に降り立ったアサシンはさて、とまた構え始めた。
「一匹逃してしまったからな。もう一匹も逃したとしたら俺もマスターも大目玉だ。流石に勘弁願いたいんでね」
「……」
焦燥感に駆られるような横顔のセイバーに、心が少しだけ痛む。
でも今回の彼女はまた十年前のセイバーとは別、そう言い聞かせて激しい打ち合いもう一度し始める二人を木の影から見守った。
ラッキーアイテム
鳳凰の羽根
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
ラッキーサーヴァントクラス
シールダー
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翔べないペンギン(プロフ) - らんらんさん» コメントありがとうございます! お褒めに預かり、応援いただき、目から汗が出るほど嬉しいです。どうぞ続編の方もよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月25日 21時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
らんらん(プロフ) - とっても面白いです!いつも楽しみながら読んでいます!続編も頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 9ff20dca42 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 甘い缶詰さん» 一気に拝読いただきありがとうございます! そう言っていただけて非常に嬉しいです。これからも楽しんで拝読いただけるように尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月6日 19時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
甘い缶詰(プロフ) - 初めまして!前作から一気読みしました。正直言って面白すぎて、最高です(語彙力皆無)。更新頑張ってください! (2020年9月6日 14時) (レス) id: b8e62b7458 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ゼラチンさん» コメントありがとうございます。御拝読いただき感謝しかありません。お気遣いもいただき、目から汗が吹き出ております。ゼラチンさんもお体にはお気をつけ下さいませ。 (2020年8月30日 9時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年8月7日 20時