ニジュウニ話 ページ25
だとしても、それで納得ができる程私の精神は大人になれていない。
確かに年齢等を含めた総体的なもので見れば私は大人になっている。
精神も、不安定ながらも大人な部分は有しているけど。
それでも、融通が利かない、利けない子供のような部分がある。
その点ライネスちゃんは大人だった。
身体はまだ少女だけど、精神的に大人だった。
そうならざるおえなかったのはすべて私が兄を救えなかったからだけど。
「不満という顔だね。私としてはもっと困らせてやりたいところだけど、そうすると君は臍を曲げてしまうからこの辺りでやめてあげるとしよう」
「……」
「もっとも、グレイの参加は決定事項だ」
そう言って紅茶を飲むライネスちゃんを見るけどライネスちゃんは含んだように笑うだけ。
それどころか私にショコラを勧めてくる。
「食べないのなら私が全て食べるが？ あぁ、でも、グレイと一緒に食べるのもいいかもしれないな。美味しいものは誰かと分かち合って食べた方が美味しいし。Aは一緒に食べてくれないようだしね」
「……食べます」
「君のそういうわかりやすい性格を私はとても気に入っているよ、A」
言った手前、ショコラは食べなければならない。
そっと手に取ったのは以前と同様、薔薇の形を模したショコラ。
味はオレンジが使っているのか、口に含めた瞬間に鼻腔を通ったのは柑橘類のような香り。
思わず頬を緩めそうになるけど、私はまだライネスちゃんの考えもやり方も認めていない。
私の実力が不足していることは理解している。
これは、ただの私のエゴであり、我が儘である。
そんな私の考えをわかっているのか、ライネスちゃんを見るればにこにこと彼女は笑うだけ。
そして知っている。
きっとこのあと、私の意見を無視してフードの少女を呼んで、私を含めて三人でお茶会をする目論見を立てていることを。
私がライネスちゃんのお願いや言葉を無視できないことをわかって、そうするということを。
「本当に君は面白いよ、A」
「……私は全然面白くもありません」
「そうだろうね。でも、君は私の言うことは決して断らない。そして必ず聞き入れて、守ってくれる。本心がどうあれね」
「……それをわかっていて言うライネスちゃんは人が悪いです」
「生憎そうならないとあの魔窟の中を生きていけなかったからね。……あぁ、別に君に対する嫌味とかじゃないからそんな悲しそうな顔をしないでくれ、本当さ」
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作者名：翔べないペンギン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時：2023年3月22日 1時
