橄欖の側にて咲く青薔薇の秘めた贖い (ページ22)

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ニジュウ話ページ22

そう尋ねると彼は笑みを溢していた。

意味がわからなくて睨むと謝罪が返ってくる。

「すまない。気を悪くしたのなら謝ろう」
「……いいえ」
「それで、先程の君の疑問の件だが」

曰く、アッシュボーンの屋敷で朝食を取った時に大人の真似をしてストレートで紅茶を飲もうとしたらしいがまだ早かったらしい。

顔をしかめている時に今は亡きハイネ・イスタリがミルクと砂糖をを勧め、彼に意見を尋ねたロザリンドちゃんへ返した回答が大人の女性ならばミルクたっぷりなどという、なんとも語弊がある言葉を言ったらしい。

「……」
「まさか、今回の会食でAがミルクティーにするとは思わなかった」
「……今回はたまたまミルクティーにしただけです。いつもはストレートで飲みます。ロシアンティーにもしますけど」
「あぁ知っている」

知っているという割には子供を見るような目で見てくるので本当に知っているのか不安が残る。

少しだけ睨み、それから切り替えるように息を吐いてから今後のことをぼかしながら話す。

「ロザリンドちゃんの件は、ライネスちゃんに迷惑がかからない程度で交流をいたします」
「あぁ、その辺りは私も補助しよう」
「ありがとうございます、ロード。それと、今日はご馳走さまでした」
「……先に言っておくが、もし私の口座に今回の食事費用を振り込まれていれば君の口座に倍にして振り込みし直すので返そうとしないように」
「……なんのことでしょうか」

そっと視線から逃れるように目線を窓の外に移す。

「君の考えていることなどお見通しだ」
「……そうですか」
「それに」
「……それに？」
「……いや、なんでもない。気にしないでくれ」

気になる終わり方をする彼の方を向けば少しだけ懐かしむような、悲しそうな、なんとも言えない表情をしていた。

どうしたのかと問おうと口を開いて、でも直ぐに閉じた。

聞くべきことではない、だろう。

エルメロイの屋敷まで戻るタクシーの車内は少しだけなんとも言えない気まずい空気になってしまったけど、新たな交遊関係を結べたことを考慮すれば些細なことだろう。

到着までの間、流れる景色を眺めながら私はそう思った。

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一般的にロシアンティーはジャムを食べてから紅茶を飲む、となりますが英国ではロシアンティーはレモンティーとなります。