橄欖の側にて咲く青薔薇の秘めた贖い (ページ19)

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ジュウナナ話ページ19

一般的なコース料理を食べ終え、食後の紅茶となる。

角砂糖を一つとミルクを多めに入れていれば真向かいのロザリンドちゃんから強い視線をもらったのでどうかしたのかと尋ねるけど、何でもないと言われてしまった。

何かなと彼女の視線がどこだったのか思い出し、なるほどと理解。

「紅茶はやはりミルクティーですね。ストレートも紅茶本来の味わいを楽しめますが、ミルクティーが一番美味しいです」
「……ミルク多めに、ですか？」
「はい。たっぷりです」

そう言うとロザリンドちゃんは初めて表情を動かしていた。

それは少しだけほっとしたような、そんな表情だった。

表情の理由がわからなくて悩んでいれば隣に座る彼が口元が僅かに上がっていたためおそらく原因は彼にあるのかもしれない。

尻目に見れば後で説明すると言わんばかりにアイコンタクトを受けたので頷いておく。

まるで私に倣うように紅茶に角砂糖一つとミルクたっぷりと注(そそ)ぐロザリンドちゃんに、確かに子供の舌に紅茶のストレートは合わないと思い直した。

私自身も子供の頃は、と考えようとして止める。

自己嫌悪に陥ることはしてはいけない。

ホストは彼だとしても、私もホスト側の人間だからゲストに楽しんでもらうのがマナーというもの。

「……」

にっこりと笑い、ロザリンドちゃんとの会話を続ける。

隣の彼から視線をもらうけど今回は気付かない振りをする。

紅茶を飲み、互いに話しをして終わりの時刻を迎える。

会計はエルメロイ持ち、正確に言えば彼のポケットマネーだろうから後日、食事費用全額口座に振り込んでおこう。

ただでさえ彼は私が原因の多額の負債を抱えてしまっているのだから。

レストランから出れば空はもう暗く、夜になっている。

欠けた月が建物の隙間から見え隠れしているため、少し遅い時間なのだろう。

街頭と建物から漏れでる明かりのお陰で暗くはなく。

お陰で少し先にイスタリ家の者らしき迎えの人が馬車の側に立っていることに彼も私も気付けた。

側まで案内し、見送ろうとすればこちらに振り返ったロザリンドちゃんは私と彼を見上げてきた。

「今日は楽しいお食事会をありがとうございます、ロード・エルメロイ二世様、Aお姉様」

そう言ってカーテシーをするロザリンドちゃんは初対面の時に見せたような影は小さくなっていた。

のだけど、それよりもロザリンドちゃんが言ったお姉様発言が気になってしまう。