橄欖の側にて咲く青薔薇の秘めた贖い (ページ2)

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ゼロ話ページ2

ーーあなたを絶対赦さない!! 衛宮切嗣!!!!
ーー……それは結構。
ーーあなたは決して報われない！救われない!!

夢を見る。

眠るといつも見る悪夢。

それは幼き頃から見る予知夢だったものが現実となり、いつの間にか私に対する戒(いまし)めのような過去夢にへと変わったもの。

月明かりに照された廃墟の中。

人を殺す道具を持った真っ黒な悪魔と、真っ赤な液体を地面に広げて仰向けで倒れている人と、同じく真っ赤な液体を地面に広げて物言わぬモノへと変わってしまった人と、呪いの言葉を吐いて消えてしまったヒト……。

大切な人達が目の前で消えていなくなるという、絶対にあり得てほしくなかった夢であり、現実であり、実際に起きてしまった過去。

正夢となってしまったそれは覆しようがない、私の過失、失敗、失態……。

未然に防ぐことが可能だったというのに、あまりにも未熟過ぎた私は何もすることができず。

ただただ手をこまねいて、あの人達が倒れて無惨にも消えて物言わぬモノへと変わっていく様を、無様にも泣き叫ぶことしかできなかった私への咎であり罪。

忘却することは許さないと言わんばかりに、鮮明に見せてくる悪夢は目に焼き付いて離れない、離れることさえも許さないそれはもう何度も何度も見た。

心が擦り切れる程、磨耗する程。

それでも悪夢は、悪夢(わたし)は許すことはない。

お前のせいだと突き付けてくる。

償(つぐな)えと、贖(あがな)えと、私に訴え掛けてくる。

償えるものなら償いたい、贖えるものなら贖いたい。

でも、それさえもできない、させてくれない。

いったいどうすればいいのか。

私はどうすればこの罪を償えるのだろう、贖えるのだろう。

いつもは、以前は、大切な人が教えてくれたというのに、今は倒れている、もういない、もう教えてはくれない。

もう答えてもくれない、もう導いてもくれない。

誰も大切な人達を見殺しにした私には正しい答えを教えてくれない、解き方を導いてくれない。

何もできない、できなかった、そしてできることさえもない私に対して悪魔がその銃口を向けてくる。

ーー……最後に言いたい言葉はそれでいいかい？
ーーあなたは必ずこの先絶望する!!

呪いの言葉しか吐けない、吐けなかった私に向かって、まるで救うかのように、そして地獄を突き落とすかのように、悪魔はその引き金を──。