arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ18)

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「のっ、…む、！」

朝ごはんを終えたお兄ちゃんが俺の名前を呼んだ。

「…ん？」

「…っ、なん…か、ここ、…へんっ、」

「ここ？お腹痛いん？」

「…んーっ、」

少しだけ顔を歪めたお兄ちゃんが、急にビクビクと震え出した。

てんかん発作。

「う”～っ、んっ、」

さっきの過呼吸よりももっと苦しそうで。

「っ…はまちゃ、」

震える手で濵ちゃんに電話すれば、2コールで出てくれた。

「もしもし、はまちゃ、っ！」

『どした？！大毅になんかあった、？』

「けいれん、どしよっ、…！」

『のぞむ、1回落ち着け、…今の時間見れる？』

「じゅうじ、にじゅうさんふん、」

『それ、どっかにメモしといて』

震える手で付箋に時間を書く。

「大毅の服のボタン上から3つ開けて、顔横にして？」

「…ん、わかった、」

体をバタバタとさせて苦しそうなお兄ちゃんの服のボタンを外し、顔を横にさせる。

ピピピッと機械から異常をきたす音がなり始めて余計不安になって。

『望、大丈夫やから、だいじょうぶ、』

数分して、お兄ちゃんのガチガチに固くなってた身体から力が抜けたらしく、そのままベッドへ身体を預けていくのが見えた。

「…ぉ、さまった、」

『ぉ、治まった？良かったぁ、』

ホッと息をついて、俺も床にぺたん、と座り込む。

『そっから１時間もしないで大毅起きると思うんやけど、吐いたりするかもしれんから、誤嚥だけさせへんようにな？』

「…ほんまごめん、ぁりがと、」

『何謝ってんねん！全然ええから、望偉かったなぁ？』

濵ちゃんから褒められて、ぽろん、と涙が溢れる。あぁ、俺、不安やったんや。

電話が切れてもしばらくは、その場から動けなかった。