愛に溺れ。 (ページ8)

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ちょうだい　【cn ･ ym　+ ar】（※11/28手直し※）ページ8

(cn side)

僕の幼馴染の涼介は優しい。

幼い頃から兄のように慕ってきた涼介は僕のお願いはなんでも聞いてくれた。

同じ高校に行こと言えば「いいよ」と言ってくれる。

同じ部活に入ろと言えば「いいよ」と言ってくれる。

遊ぼと言えば何をしてようが「いいよ」と言ってくれる。

それに、ちょうだいと言えばなんでもくれる。

キーホルダー。缶バッジ。服。靴。筆箱。シャーペン。

その他諸々。

そんな風に育ってきたから涼介の物はなんでも欲しくなっちゃったのかな？

中学3年の頃に涼介に彼女ができたって聞いて反射的に「その子ちょうだい」って言っちゃったの。

流石に怒られるかなって思ったけど涼介はいつものように「いいよ」と言ってくれた。

その出来事から涼介に彼女ができたと報告される度に「ちょうだい」と言うようになった。

歴代彼女は全員涼介の元カノ。

奪ってるわけじゃないよ？

涼介がくれるんだ。

ね？

涼介って優しいでしょ？

でも、そんな優しい涼介が最近お願いを聞いてくれない。

「そのハンカチちょうだい」って言ったら後ろに隠す素振りをして「ごめんね」って返されたし、

家が近くなのに全然会ってない。

スマホで「暇、遊ぼ」と連絡をしても「ごめん」としか返ってこない。

なんなら既読がつかない事だってある。

これが原因で涼介と同じクラスがよかったって思うようになってきた。

今までは思わなかったのかって？

当たり前じゃん。

お願いすればいつでも会えるもん。

cn「はぁ……ん…？」

ちょっと退屈でため息をつきながら帰っていると前方に見覚えしかない人影が。

涼介！！……と、誰だ？

よく見れば涼介の隣にはもう1人の男子生徒。

まぁ、いいや。

気にしない。気にしない。

cn「りょーすけーーー！！」

名前を呼びながら走って涼介の元へ行く。

するとわかりやすく肩をビクつかせていた。

なんで？

ym「ぇ、ぁ……ち、ねん……」

cn「もー！涼介！酷いよ！！
なんで遊んでくれなかったの！！」

ym「ぃ、や……その……」

こっちを見てくれない。

目を合わせてくれない。

そんな涼介をちょっと不思議に思っているとあることに気がついた。

涼介は並んで歩いていた男子生徒と手を繋いでいたのだ────。