愛に溺れ。 (ページ34)

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コンビニ【ar × ym】ページ34

( mb )

「はぁぁぁ〜〜……あっつ〜い……」

ここはコンビニ。
私はそこでバイトをしている。

今は夜中って事もあり全然人がいない。
…って言ってもこんな静かなのは珍しいけど。

団扇を仰ぎながらレジでぐったりとしている。
と、入口の自動ドアが開き2人のお客さんが入ってきた。

慌てて団扇をしまい体を起こす。

お客さんはマスクをしていてサングラスもかけているから顔がよく見えないが着ている服装がメンズっぽいからきっと男性だ。

「お、あった」

何かを見つけたらしい2人は上を見上げてそこを指さした。
残念ながら声は聞こえない。

あそこ何あったっけ？
商品の場所いまいちよくわかんないんだよな…。

「んー、高いね」

「なー。山田が取ってよ」

「え…」

「ほーら！はーやーく！」

どうやら目当ての物が高い位置にあって届かないらしい。
凄い頑張って背伸びをしている。
うん、161cmの私よりちょっと高いぐらいの人達だもんね。

「…と、届かないから…取って？」

「っ、…わかった(笑)」

もう1人の方は頑張って背伸びしてギリギリ届いたらしい。
ちょっとだけそっちの方が高いのかな？

目当てのものを手に持ってついでにと言わんばかりにお菓子も取ってレジまでやってきた2人。
1人はちょっと耳赤いみたいだけど…。熱、かな？

「お願いします」

「あ、はい」

耳が赤い子に気を取られて商品を置かれたことに気が付かなかった。

「っ！？」

その商品を見たらびっくり。
1個のポテチとまさかまさかの夜のゴム。

なるほど…1人が赤くなっちゃうわけだ…。

「415円1点と…ご、509円1点で924円です」

「カードで」

「は、はい」

なんだか私も恥ずかしくなって目を合わせられない。

「ありがとうございました」

店から出ていく2人の背中を見る。

出る直前に「優しくしてね」「無理かも」という会話が聞こえてきたのは気のせいではないだろう…。