愛に溺れ。 (ページ28)

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素直になれない彼氏さん【nt × ym】ページ28

※名取颯馬×山田涼介
※山田くん＝フェロー

( ym )

久しぶりに体調を崩した。

医療系の仕事をしているのに不甲斐ない……。

白石先生や藤川先生、灰谷先生に横峯先生、冴島さんと雪村さん。
それに同じくフェローの知念。

みんな心配の連絡をしてくれた。

うぅ……優しい人達だ…。

一人一人に“大丈夫”という返事をして再びベッドに潜り込む。

あいつからの連絡は…なし。

まぁ……そりゃそうだよね……。

今日、ヘリ担当だった気がするし…。

「はぁ……」

プルルルル…プルルルル…

「びっっ…！……くりしたぁ…」

静かな部屋に突然鳴り響く電話の呼出音。

見れば“名取”と書かれていてちょっとだけ口角が上がる。

「もしもし。そうまくん？」

『うん。俺』

いつもと変わらない声のトーン。

それでも耳元で聞こえてるという事実が恥ずかしくて心臓がドキドキと波打つ。

『お前、大丈夫？』

「うん、大丈夫。ちょっと風邪ひいちゃって」

『ふーん。馬鹿でも風邪ってひくんだな』

「……なに？もしかして寂しいの？」

心配してくれてるのかと思ったら余計な一言。

ちょっとからかってやった。

『ばーか。移すなよって電話』

「ほんとは会いたいと思ってるくせに」

いつもはちょっと冷たくて掴みにくいやつだけど俺の事大好きなのを知っている。

俺が患者さんと長話してるだけで嫉妬の眼差しを向けてくるんだから。

『いやっ…別にそんな事…………思ってねーし』

「ふふっ、そっか」

『とにかく体あっためてたくさん寝てろ』

「うん。わかった」

『……なるべく早めに帰るから』

「急患･急変がいても？」

『まー、誰かに任せれば大丈夫だろ』

「颯馬くんらしいね

待ってる。ありがとう」

電話を切って言われた通りに体をあっためて寝る準備をする。

きっと目が覚めた頃には素直になれない彼氏さんが看病をしてくれると信じて。