ポッキーゲーム 【ar × cn + ym】 ページ19
( cn )
「大貴。ポッキーゲームしよ」
「……え？」
ここは楽屋。
そして僕達が座っているソファの目の前の机の上にはポッキー。
そこである事が頭の中に浮かんだ。
“ポッキーゲームがしたい”
「今日、11月でも11日でもないんだよ？」
「知ってる。でもしたいの」
「えぇ…」
少し申し訳なさそうな顔をする大貴。
僕のお願いはなんでも聞いてくれてたの…。
ま、それもそっか。
今大貴の頭の中には恋人である涼介の文字があるんでしょ？
大貴が涼介の事大好きな事ぐらい知ってるよ。
でも、だからこそ涼介が個人撮影でいない今やりたいの。
僕だって…入所したあの時から好きだったのに…。
「ね、お願い……」
「ぅ……わ、わかった」
意識的に上目遣いをすれば一発。
大貴は僕のこの顔に弱いからね〜。
箱から1本ポッキーを取り出す大貴。
それを咥えてさりげなくチョコの方を僕に向けてくれる所がかっこいい。
サクッ…サクッ…サクッ…
一口一口進めて、どんどん近づいてくる大貴の顔。
心臓がドキドキうるさくて聞こえてないか心配。
本当は数秒なのかもしれない。
でも僕には何分にも何時間にも思えてしまう。
サクッ…サクッ…
あと数センチ…。数センチで大貴の唇に……。
ポキッ…
「んぇ…？」
もう少しという所でポッキーが折れてしまった。
……いや、大貴の手によって意図的に折られたのだろう。
「……はが…だいちゃんのばか……」
よく見れば後ろから大貴に抱きついている涼介の姿が。
大貴、凄いびっくりしてるし。
「俺が来なかったら…ちぃと…ち、ちゅーしてた……」
「ばッ…！する訳ないじゃん！」
「…………」
“する訳ない”…かぁ…。傷つなぁ。
「…ちぃの方が…いいの？
俺の事いやになっちゃった…？」
涙目+上目遣いで聞いている涼介。
僕とは違って無意識で。
泣き出してしまいそうな涼介(もう涙目だけど)をぎゅっと包み込むように抱きしめて説得している大貴。
「俺には山田だけだよ」
「ほんと…？」
「うん。ポッキーだって最初から折る気でいたし」
目の前でイチャつく大貴と涼介。
2人してあんな幸せそうな顔しちゃってさ。
あーあー。涼介から大貴を奪うのはまだ無理みたい。
まだ…ね？
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作者名：ArYm0129 | 作成日時：2022年9月15日 17時
