【d!】ラノベのように、甘くはない Ⅳ (ページ7)

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「これ食べたいんやろ？もう買ったから食べよーぜぇ！」

そう言って視線を下におろすとさっきまで私が食べたいと思っていたモンブランみたいなケーキとチョコレートケーキが既にプレートに乗っていた。どうやら私はまじまじと見つめていたらしい。

というわけで席に座った。

『すみません、おごってもらっちゃって。
！、ん”んむっ、ん、わぁ美味しい！』

「せやろ、こっちも食べてえーよ。」

世界一ロマンチックではないあーんをされたもののケーキは極上の逸品だった。とろける食感に甘すぎない栗のペースト。うーん、美味しい！
あれ、ゾム上級大将は食べないのかな。

「俺チョコケーキ苦手やねん、甘いもんは好きやねんけどなぁ。」

『え、あ、じゃあモンブラン半分どうぞ！
私はチョコレートケーキも好きですから。』

「んひひ、知っとるで？お菓子とかよく食べてるから、リサーチ済みや。」

なんと、そこまでしっかりと。比べて私は幹部のみんなの好きな物も嫌いなものも全然知らないなぁ...。

「...なぁA、どうして俺らのことは階級付けて呼ぶんにショッピは君付けなん？歳が近いから？それとも何かそういう理由があるんか。」

何かそういう理由...え、あ、

『そ、それは、単純にそう呼んでくれと頼まれたからで！！！距離感を感じるのが嫌だって本人は言ってましたよ？』

「ほーん。ほな俺のこともゾムって言ってくれへん？」

とてもデジャヴに感じるぞ？全く同じ会話をショッピ君ともしたような。そりゃそうだ、したもんな。うん私何言ってんだ。この人もだけど、どうして階級付け嫌がるんだろ。まぁ嫌ならしょうがないけどゾム上級大将は年上だし、流石に君付けはなぁ。

『ゾムさん、でいいですか？』

「うーんまぁええか。おん、満足やわ！
あ、クリームついてんで？ほら、」

『あ、ちょ、』

「うん、やっぱチョコは苦手やな。」

すっと取ってはペロッと舐め、少し顔を歪めるゾム。はぁ、こういう人がモテるんだろうななんて思っていると私たちのもとに人影が近づいてくる。

「ゾム、交代や。」

「ちぇ、もう時間か。しゃあない、また後でなA！」

手を振って見送るとゾムさんは瞬く間に去って行ってしまった。そして彼と交代したのはロボロ管理官だった。あまり気分の良くなさそうな表情をしている様子に少々戸惑うAに口を開いた彼。