【d!】ラノベのように、甘くはない Ⅳ (ページ5)

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両肩をがっしりホールドされ、強制的に大佐の正面に体を向けざるを得なくなる。目を逸らせば目を見ろと言わんばかりに肩に加わる力が強くなる。
町では私は軍人ではなく異世界人として扱われる、その方が軍人よりかは恨みを買うことが少ないからだそうだ。それにしても普通に名前を呼ばれると心臓がドキッと跳ねる。久々に呼ばれると心臓に悪い。

ん？なんで？

『シ、ショッピ大佐？誤解です、皆さん大勢で行くことに驚いただけで！大佐や皆さんと行けるの嬉しいです！』

「おいショッピ、放したれや。加減せんとノクの肩壊れてまうで？加減を覚えろ、加減を。」

「お前が言えることじゃないやろシッマｗ」

「なんやと！？お前も大概やろゾム！！」

賑やかに(？)会話をしながら町へと降り始める。道中ですれ違う国民一人ひとりと言葉を交わし繋がりを深めていく。それがここ、我々国の政府と国民の間に生まれる信頼と絆の原点であった。そしてだからこそ、政府は。この幹部の人たちは。

国民の感情を揺さぶるのが巧い。

私はとある現場の一部始終を見ていたことがある。それは軍事基地に迷い込んだ一人の国民である男性が発見されたことから始まった。能力の制御がある程度出来るようになっていた私は、その迷い込んだ男性が国民だと確認が取れるまで自分の能力で拘束していた。

彼は言った、「私はこの国を許さない！愛しているからこそ、私は不正輸入している武器を使っている貴方たちを許さない！」と。ある資料が国民に流出しそうになっているところ、この男性が拾い、手元に留めたことで広がらずに済んだ、という。私は彼が拘束されている部屋の外の扉越しから聞き続けた。

総統様は言った、幹部全員が見ている中で言った、「すまない、確かにそれは我々が行った不正な取引や。だがそれは君たち国民を守るためである。ここから遠くのある国でどれい商売を行っていた国があった。我々はその国と交渉した、不正価格で武器を買うからどれいを解放しすべてこちらに回せと。その資料はその時の一部だ。」

続いてオスマン外交官も口を開き、「知っとるやろ、昔あった大きな戦争を。あそこは我々との契約を破棄しどれい解放に反発した。加えて我らの国宝である国民までもどれいにしようとした。裁きを下したまでや。」と冷酷な声色で話す。

偽りだ。