降魔大聖の師匠 (ページ6)

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暗い森の真夜中。

敵陣に牢に繋がっている裏道では激しい戦いが繰り広げられていた。

「雷鳴刀！！」

雷を纏った刀が僕めがけて振り下ろされる。

僕は地面から氷を生やし、ガキン！と硬いもの同士が、ぶつかるような音を出して刀を防ぐ。

そして弓を刀に変えて応戦する。

ここまで見れば、互角のように戦っているように見えるが、正直なところ僕が少々押されている。

僕は少し苛ついていた。

任務の邪魔をされ、雑魚だと思っていたヤツに押され、散々だ。

「､､､､もう一度言う。そこを、退け！！」

僕を中心に雪を含んだ竜巻を発生させ、敵を巻き上げる。

そして、竜巻を急に止め、敵を落とした。

＿＿＿＿＿

あの中将を倒し、今は人質の夜叉が捉えられている牢屋にいた。

少年は体育座りをして、頭を伏せている。

おそらく真名を知られ、呼ばれて洗脳されたのだろう。

手足は鎖に結ばれ、痛々しい傷跡が幾つもあり、目には光が灯っておらず、おまけに髪はボサボサ。

僕は牢屋の鍵を氷で作り、扉を開け、中に入る。

「誰だ」

獣のような凜とした声が牢屋に響く。

声の元は鎖で縛られている少年であった。

「僕は帝君の命により、君を助けにきた」

少年の目は一瞬光が灯ったものの、脱走が知られたらどうなるかを考えてしまったのか、また光の無い目に戻ってしまった。

「そのような救済、我には必要ない」

そう言い残し、また頭を伏せてしまった。

彼が助けて、と言わなくとも僕は彼の瞳が助けを求めているように見えた。

「それでも僕は、君が助けを求めているように見える。違う？」

「､､､､我は、」

「僕は君の気持ちも今考えていることも、言葉で伝えてくれないと分からない。君は本当に助けられたくないの？」

僕の言葉が彼に届いたのか、唇を噛み、悩んでいるようだった。

早く、早く決めてくれ。

傭兵が来るのも、敵の大将にこのことを知られるのも、時間の問題。

「我は、」

少年が言葉を発そうとしたその時。

ドタドタ、と傭兵がこちらに来る音が聞こえる。

僕はしまった、と思い無理矢理少年の鎖を壊し、窓の外から少年を抱え逃げ出した。