冷めてるカノジョと人気者のカレ。 Part2 (ページ49)

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彼は試着室の前の椅子に座っていると言っていたので、お言葉に甘えて時間を借りて一応全て着てみる。うわ、ベレー帽の被り方とか分からないな…

ベレー帽に関しては答えが見えなかったので何となく被っておいて、試着室のカーテンを開けた。

「…ど、どうかな？」

開けるまで携帯をいじっていた有岡くんは、試着室から出てきた私に気づき顔を上げた。そしてすぐ目を丸くしたかと思うと口をパクパクし始めた。まるで酸欠の魚みたいに。

有「…ちょっと待って、マジで似合ってるんだけど…」

ちょっと待って、から始まるものだからてっきり似合ってないとか着方が違うとかかと思ったらそうではないらしい。その微妙な言い方は果たして褒め言葉なのだろうか。

「…それは、褒めてる？」

有「当たり前じゃん！めっちゃ似合ってるよ！可愛い！」

出た。また可愛い。何だか聞きすぎて信用出来ないんだけど、とりあえずは褒めてくれたらしい。

「こういうのが、有岡くんの好みなの？」

有「うん、シンプルなのが好きかな」

「じゃあ分かった、これ買うね」

有「ええ？！決めるの早くない？！」

有岡くんは驚いているけど、これが有岡くんの好きな服ならば買う以外選択肢はないように思える。

「だって、有岡くんオススメだし。買うよ、買う」

ざっと値札を見て計算したけど手持ち金で足りる額だった。改めて母親に感謝したい。