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有「…ここ、いつも行ってる店なんだ」
次に有岡くんが連れてきてくれたのは、たくさんの有名ブランドの服を取り揃えるセレクトショップだった。いつもこういう所で買い物してるんだ…
有「とりあえず、一周して見て回ろ!」
「うん」
本当に私の分まで買ってくれるつもりなのか、レディースを中心に物色している様子。
有「…あ、これとかどうかな?」
そう言って有岡くんが手に取ったのは、スリットの入ったロングのワンピースだった。
有「これにさ、こういうロングコート着て…」
近くにあったワンピースより少し短い長さのコートを持ってきて、ハンガーの上からかける。
有「あ、あのベレー帽とかどう?」
それを持ったまま小物が置いてあるコーナーへと行き、ベレー帽を手に取った。
有「めっちゃ似合いそう!…って、ごめん、勝手に盛り上がっちゃって…」
有岡くんは満足した様子だったが、私が何も言っていないことに気づいたのかシュンとしてしまった。
「いや、謝ることないよ…それよりも、センスいいんだね」
女の子の服なのにスイスイとコーデを決めてしまった有岡くんに驚いてしまったのだ。確かに組み合わせ方のセンスがいいし、小物使いまで手馴れたものである。
有「え?あ、ああ…あの、よく雑誌とか見てると女の人のコーデとかも載ってたりするからさ…」
褒められて嬉しいのか、少し照れくさそうに答える有岡くん。
「せっかく選んでくれたから、着てみてもいい?」
選んでくれたのだから試着してみたい。有岡くんが持っていたものを受け取って、試着室を探す。
有「え、着てくれるの?好みとかじゃなかったら無理しなくていいんだよ?」
不安そうな顔をしているが、選んでくれたものを突き返すほどオシャレにこだわりはないので、無理してないよと言っておく。
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作者名:あんず | 作成日時:2018年6月3日 17時