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有「…何か行きたい店とかある？ここ、広いからたくさんお店あるよ」
運ばれてくるのを待つ間に、次に行く店を決めるようだ。
「そうだね…有岡くんはないの？」
有「うーん、2人で見てて楽しいのは…楽器店とか？CDショップとか？」
音楽好きという共通点から、有岡くんは音楽関連の店を挙げてきた。確かにそこなら2人でも楽しめそう。
「いいね、行こっか」
有「…あとさ、Aちゃんはファッションとか興味無いの？」
「え、ファッション？」
有「そう。俺は好きなんだけど、良かったら一緒に回りたいなー、と思って」
確かに有岡くんはおしゃれだ。今日もプルオーバーにデニムのジャケット、黒のスキニーにバッシュのようなスニーカー、そしてキャップを被っている。
私はあまりファッションに興味は無い。店頭にマネキンで飾っているような服をそのまま買ったりして、割と普通の格好をしている。
でもこの機会を活かしてファッションに興味を持つのもいいかもしれない。有岡くんと一緒に見るのなら、有岡くんの好みも知ることが出来るし。
「…いいよ、一緒に見よう」
幸いにも、デートに行くということを伝えたところ母親が高額の軍資金をくれたので、一式くらいは買えるかもしれない。
有「本当？ありがとう！何か良いのあったらAちゃんの分も買うね！」
「え？！いやいや、それは申し訳ないから…！」
私の服を有岡くんに買わせるわけにはいかない。
有「大丈夫！俺今日お金持ってきたから！」
いや、そういうことではない。
「本当、それは有岡くんに申し訳ないから…払うよ、自分で」
有「えー？いいのに…まあ、見て良いのがあったら、ね！」
埒が明かない譲り合いが続いたが、ここで注文したオムライスが運ばれてきたので一旦お開きとなった。
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作者名：あんず | 作成日時：2018年6月3日 17時
