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そうして無理やり家に連れ込まれ、あっという間に浴衣を着せられた。白地に薄いピンクの花があしらわれていて、帯は濃い目のピンク。結構可愛いやつ。
そして椅子に座らされる。後ろからは咲さんがヘアアイロンとくしを持って髪をセットし、前からは佳奈子が化粧道具を持って迫ってくる。
佳「今回こそは化粧するからね！嫌とは言わせないよ！」
「…はい」
文化祭の時は断ったけど、もう断れない。素直にこの姉妹の言うことに従う。もうやられたい放題。
何分経ったのか、まず化粧が終わり、続いてすぐに髪のセットが終わった。
佳「Aめっちゃ可愛い！すごい可愛い！」
咲「やっぱり元がいいと何しても可愛いよね〜！」
姉妹にべた褒めされ、差し出された鏡を見ると
「…これ誰？」
誰だか分からないくらいになった私が映っていた。
髪は編み込みが施され、うなじの辺りくらいにお団子が作られている。キツすぎない、無造作な感じのお団子で、横の髪は軽く巻かれている。浴衣に合わせてピンクの大きめの花かざりが付けられている。
メイクの方は割と薄め。こちらも浴衣に合わせてピンクのチークがうっすら入ってる。リップはこの前より少しだけ赤が強め。でもそんなに濃くはない、そんな色。
こんなに見た目を整えたことがないから違和感しかないんだけど。すごい恥ずかしい。こんなので会えないよ…
佳「大丈夫！これなら有岡くんも満足だね！」
「…ガチすぎて引かれない？」
佳「いつもと雰囲気違うから逆に惚れちゃうかもよ？」
咲「そんなにがっつりじゃないから安心して！大人っぽくていい感じだよ！」
うーん、なんか信用ならない…でもやってもらったし下手に文句は言えない。気づけばもう出発しなくちゃいけない時間。
「…2人ともありがとう、行ってきます」
咲「楽しんでね〜！」
佳「報告待ってるよ〜！」
お気楽な2人に送り出され、駅に向かう。なんか気恥ずかしい。大丈夫かな、引かれないかな…それだけが心配。
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作者名：あんず | 作成日時：2018年6月3日 17時
