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隣にいる彼を見ると真剣な顔をしている。
有「…もう気づいてるかもしれないけどさ…」
彼が次の言葉を言おうとした時大きな音がした。
「…あ」
音の方を見ると夜空に大きな花火があがっていた。その一つ目を皮切りに、次々とあがる。
「…綺麗」
有「…そうだね、綺麗だね…」
ついつい2人で見入ってしまう。さっき彼が言いかけた言葉は花火に消されてしまったよう。
1部が終わったのか少し間が空く。遠くの方では次の部の説明なのか、微かにアナウンスが流れている。ちょっとした沈黙が訪れる。
「…さっき何言おうとしてたの?」
有「…え?」
「ほら、何か言いかけたじゃん」
有「ああ…じゃあ花火に先を越される前に言うね」
そこで彼は大きく息を吸う。
有「…俺、ずっとAちゃんのこと好きなんだ。楽しませるとか言ってたけど、本当は一緒に話したくて。だからこれからも一緒に話して、もっと一緒にいたい。…良かったら付き合ってくれませんか?」
「…え」
彼が言い終わったタイミングで2部の花火があがった。彼の真剣な顔が花火に照らされる。
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作者名:あんず | 作成日時:2018年6月3日 17時