第58話 ページ10
再び客間に戻るゼンとオビ、そしてA。
ミツヒデには白雪を任せていた。
客間に到着すると、衛兵と共に木々が迎え入れる。
「ゼン殿下、お手間を取らせました」
一回で聞き出せずすみません、と謝る木々。
ゼンは、気にするなと声を掛けた。
「…で、なんだって？」
再び、ドカッと音を立てて偉そうに座るゼン。
不機嫌を隠さない様子に、巳早は少したじろいでしまう。
「すみませんね、その美少年が探している人物がもう一人いたので」
「もう一人？」
どういうことだ、と巳早を睨む。
Aも険しい顔をしたまま、ゼンの隣に立った。
「それが私ってわけ？」
「ご名答。青い髪をして片目を隠してるそうで…まさにそこのお嬢さんです」
「なっ…」
ふぅん、と冷めた表情をするA。
ゼンとオビは、Aも狙われているのか！？と驚いた。
「まさか、白雪と一緒に実際にいるとは思わなかったですけどね」
「……その美少年だかは、何か言っていたのか」
「さぁ？」
「あ゛ぁ？」
Aの事も何か…と思って言ったゼンだが、惚けた様子の巳早に再び喰ってかかった。
今は止めるミツヒデもいないため、オビがそっとゼンの肩に手を置く。
ゼンは、ふぅ、とため息をついて浮かせた腰を落ち着かせた。
「ちゃんと話せ」
「…えぇと、白雪のことは話しましたけど、そのお嬢さんのことは知らなかったんで何も話してないですよ。ちなみに、あの美少年もただ探しているとしか」
「……手がかり無し、か」
これはまたどうしたものか、とゼンは溜息をつく。
オビは巳早を睨んだまま険しい顔をしていた。
だが、Aは自分のことのはずなのに怖がる様子もなく冷めた表情をしていた。
「なんでもとても珍しいとか。そんな風に見えないですけどね」
「まぁ、私は普通だよ」
「ものすごい美人ですけどね。俺とも仲良くしてくれない？」
「…面白くない冗談はやめてくれる？」
巳早は調子に乗って話すが、Aの冷たい一言によって椅子に沈む。
落胆する巳早だが、オビやゼンからしたら当然のことだ。
それにAも巳早を敵認定したため、この先仲良くすることはないかもしれないのだ。
「まぁ、わかった。これで情報は全部だろうな？」
「えぇまぁ。それで情報の対価は」
「オビ、A、とりあえず戻るぞ。木々はこいつを兵に」
「無視！？」
金を寄越せと言わんばかりの巳早をゼンは無視し、指示を出す。
それに従い、オビとAはゼンと共に部屋を出た。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
