第57話 ページ9
ゼンと白雪は巳早の話を聞いたあと、廊下で佇んでいた。
むすーっとした顔をするゼン。
「ゼン、顔怖いよ…」
「そうか？」
それを指摘する白雪だが、ゼンは惚けた返事を返す。
オビとAはその様子に声を掛けた。
「そりゃあゼンも不機嫌になっちゃうよ、白雪」
「A…と、オビ…」
「話が本当ならその謎の美少年は、あんたを連れ去ると企んでるんだからさ」
二人に気付いた白雪が振り向く。
ゼンはただ眉間に皺を寄せていた。
「主、あの巳早って男、帰らせないんですか？」
「…………ああ、あいつしか相手の顔を知らんからな」
「美少年のね」
「…他に情報もないしな」
「美少年ってことしかね」
今すぐにでも帰したいがそうはいかず。
不服そうなゼンに、オビは揶揄い交じりで”美少年”ということを強調する。
「やかましいぞおまえさっきから！！そこはどうだっていいんだよ！！」
「やだなぁ、手がかりですって。手がかり！」
怒るゼンに、オビはハハハと笑う。
白雪は笑う気にはなれず、連れ去るということに不安になっていた。
Aはそんな白雪を見て、ポンと肩に手を置いた。
「A…？」
「大丈夫だよ」
ふ、と微笑むAに驚いた顔をする白雪。
安心させようとしてくれているのが伝わった。
「白雪」
「はいっ！？」
ゼンが呼んだことで焦ったように振り返る白雪。
「…まだ何もわからんが、一人で考えるなよ。不安になったら構わず言え」
ここにも白雪を安心させたい人がひとり。
二人のやさしさに触れ、白雪の顔に安堵の表情が見えた。
その時、カツ、と足音が聞こえる。現れたのはミツヒデだった。
「ゼン！」
「！」
「どうした、あの男何かしでかしたか」
険しい表情で現れたミツヒデに、ゼンは半分冗談交じりに答える。
「いや…巳早は大人しく下がったが、まだ話すことがあるらしい」
「なに？」
「ゼンとAに話があるそうだ…。念のためオビも行ってほしい」
ミツヒデの話に、Aは首を傾げる。
話されることは何も検討が付かない。
「私に？」
「A嬢にも…、わかりました、旦那」
頼むな、と言うミツヒデ。
険しい表情のまま、ゼンと白雪に向き直った。
「それから、もう一つ別件だ。ゼンと白雪」
「はい？」
「今晩、イザナ様のところへ行くようにと伝令があった」
えっ…と驚く二人。
過去の事を思うと、あまり良い予感がしない。
それでも腹を括るしかないのだ。
とにかく、それぞれのやることをやろうと行動に移した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
