第75話 ページ27
何故そんな気持ちになったかはよくわからん、とラジは言う。
だが、確実に、白雪を愛妾にしようとしていたラジとは変わっている。
白雪を招いてはどうかというサカキの提案に、煮え切らない返事をし続けていたラジ。
しびれを切らしたサカキが、気を利かせて白雪たちを招いたと言う。
そんな二人に、白雪は微妙な返事を返していた。
「――― ところで、その者は初めて見るが」
「はい。クラリネスから共に参りました」
「お初にお目にかかります、王子。この度我が主、ゼン殿下より白雪どのの道中護衛役兼付き人を任されております。オビと申します」
ゼン、という名前に反応し、ラジはゴホッと紅茶を吹き出しそうになる。
((声の調子まで変えてる…))
と、白雪とAは同じことを思っていた。
「……白雪どの。ゼンどのは…今回の召致に何か言っておられたか。私に伝言など…」
「いえ、特に」
「そ、そうか」
ほう、と安心したような、ほっとしたような溜息をつくラジ。
ビビりすぎでしょう…とAは思っていた。
そして、ラジは再び顔を上げてAを見る。
「君は、たしか…」
「はい、オンディーヌ家のご招待により、白雪と共に同行させていただきました。Aと申します」
「Aどの、か…」
「わたくしのことまでご招待いただき、光栄でございますわ」
(Aまで声色変えてる…！)
(わお、Aも器用だなぁ)
オビの真似して、Aは声色を変えていた。
白雪は純粋に驚いていたが、オビは、そういえば巳早のお守の時もこんな風に別人装ってたな…と思い出していた。
「イリアどのから話は聞いている。夜会までここで過ごすといい」
「ええ、ありがとうございます」
ふふ、と微笑む。
その笑みは美しく、どこか妖艶で。
片目を隠しているのにもかかわらず、他人はAの魅力に惹き込まれるのだ。
ラジが口を開いたのと同時に、サカキが後ろから声を掛けた。
「そうです、ラジ王子。白雪どのと滞在中は出来る限り一緒におられては？」
「は、なっ！？な、な、な」
サカキの言葉に驚いたラジは、バッと後ろを振り向く。
「何を驚いておられるのです。あなたがお呼びしたのですから、あなたがもてなさなければ」
至極当然、とサカキが言い放つ。
当たり前のことを言っているだけなのだが、ラジの様子を見るとそういう意図はなかったようだ。
前に向き直したラジと、白雪は目が合う。
そして、思いきりラジが目を逸らした。
その間僅か、0.2秒。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
