第73話 ページ25
「いいなぁ…」
「なにが？」
部屋に招き入れたオビを見て、Aは溜息を付く。
「私も騎士服がいい」
「いやいや、ダメでしょ。あんたは招待されてんだから」
「そうだけどぉ…」
駄々を捏ねるように言うAに、オビはただ苦笑するしかない。
「大丈夫、似合ってるよ」
「っ…！そういうことじゃなくて！」
Aは、かぁ、と顔が熱くなるのを感じた。
「はは、武器が持てないのが嫌なんでしょ」
「…わかってるじゃない」
「まぁね。ていうか、俺に守らせてって言ったの覚えてるかい？」
「……うん」
「なら、よし」
オビは、Aの頭をぽんぽんと撫でる。
自分で動けないもどかしさ、悔しさは拭えないが、Aはオビとの約束を思い出して頷いた。
「A、おはよう！」
コンコン、と開けたままの扉をノックしたのは白雪だ。
「白雪！おはよう！」
「あ、オビもいたんだ」
「おはよう、お嬢さん」
お邪魔します、と入ってきた白雪も、当然ながらいつもと違う恰好だ。
女の子らしい可愛い格好をしている。
「オビもAも、雰囲気違って見えるね」
「おっ、そう？ほんとはこういうの動きにくいから嫌なんだけどさ。せめて暗い色にしてくれって頼んだんだよ。ミツヒデさんに」
「暗い色？」
「夜目立たないでしょ」
なるほど…と白雪はオビを見て頷く。
「私もせめて暗い色にって頼んだのに…！木々さんに！！」
なんでぇ、とAは項垂れる。
そんなAを見て、白雪は、ふふ、と笑った。
「Aすごく似合ってるよ？」
「白雪も、すごく似合ってるし、かわいい…」
「稽古の時も思ったけど、そういう恰好もいいよね」
「そ…そう…！？」
白雪は、自分に言われたことに驚いてほんのり顔を赤くする。
他人にはさらりと褒めるのに、自分は言われ慣れてないのだろうか。
「…アレ、主ってお嬢さんにかわいいとか言ったりしないのかい？」
「！？言わない…」
「主…」
「ゼンって…言うこと言ってんだか言ってないんだか…」
まじか、と驚く二人。
ふと白雪が窓の外を見て、あっ！と声を上げた。
「御者さんがもう馬車出してる。下、おりよう」
そう言って後ろを向いた白雪の髪に、Aがプレゼントした髪飾りが揺れる。
「あ、白雪。つけてくれたんだ」
「もちろん！大事なものだからね」
「そっか…ありがと」
Aは嬉しくなって、白雪の髪飾りへと手を伸ばす。
その腕には、琥珀色の石がついたブレスレットが揺れていた。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
