第71話 ページ23
「それでは…、！」
行こうとした白雪が、ふと後ろの人物に気付き、言葉を止めた。
「兄上！」
「気にするな、ただの見送りだ」
驚いたゼンがイザナを呼ぶが、イザナは柱にもたれかかりながら笑みを浮かべる。
多くを語ることはないが、試されているのだと感じた。
白雪は何も言わず、イザナへと頭を下げる。
ふとイザナの視線がAと合い、Aは驚いたが、白雪と同じようにぺこりと頭を下げた。
「では、ゼン王子、木々さん、ミツヒデさん、行ってまいります」
「ああ！Aもオビも、無茶するなよ」
「はい、行ってまいります！」
「もちろんですよ〜」
ついに、馬車が出発する。
行き帰りの移動を合わせて、城を空けるのは一ヶ月となる。
この度で何を得てくるのかが、白雪の課題であって、Aとオビの課題でもある。
ゼンの側にいる人間は自分たちがふさわしいんだと証明するために。
――― まずは一歩ずつ学び、進んでいくために。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「―――…タンバルンで何をするか、何をしないのかは、自分の目で見て決めることだな」
「「はい」」
ハルカ侯爵の長い長い話を聞き、白雪とAはしっかりと返事をする。
途中で馬車に乗らされたオビはつまらなさそうな顔をしていた。
「お前も聞け！」
「はっ！」
だが、直ぐにハルカ侯爵に怒鳴られてぴしりと姿勢を正した。
こういう話を聞くのは苦手でもないが、馬に乗りたがっていたオビには苦痛だろう。
どうにか助けてあげたい、とは思ったが、Aには良い手段が思い浮かばなかった。
「オビ、頑張って…」
「A嬢…気絶しそう…」
「寝そうになったら起こしてあげるから」
「そのまま寝かせてほしいけどね…」
こっそりとオビに声を掛けると、オビはげんなりとした顔をする。
もう無理、というが、この状況からは馬車が止まるまで抜け出せない。
宿に着くまでの長い道中を考えると気が遠くなりそうで、3人は無心でハルカ侯爵の話を聞いていた。
それから数日。
ハルカ侯爵と共にすごし、クラリネスの歴史やタンバルンの歴史を学ぶ。
夜会での過ごし方、テーブルマナー、様々なことを教えられた。
ほぼ講師の方に教わっていたことだったが、実際に王城で暮らし、位の高い人物から聞く話は貴重なものだ。
話が長いのが玉に傷だが、白雪がひとつひとつ吸収しようとする姿を見て、Aもオビも頑張ろうと思えていた。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
