第68話 ページ20
「オビ、わかった。無茶はしない。でも、私も白雪を守りたいし、オビのことも守りたい」
「A嬢…」
「だから、できれば守られるだけじゃなくて、オビの隣に立ちたいな」
それじゃダメかな？と言うAに、オビはぷっと噴き出した。
「ははっ、A嬢にも叶わないや。わかった。でも危ないと判断したら止めるからね」
「うん、そこはよろしく」
Aが笑うと、オビは抱きしめていた腕をパッと離した。
無くなった温もりを少々さみしく思ってしまう。
「それじゃ、また明日会おう」
「うん、また明日」
じゃあねーと手を振ってオビは部屋から出ていく。
Aは見送ってから羽織を脱ぎ、寝台へと倒れこんだ。
異様に顔が熱く、心臓もうるさく脈打っている。
抱きしめられた感触がまだ残っているようで、思っていたよりも逞しいんだな…なんて思い出してしまい、顔から火が出そうなくらいの羞恥心に襲われる。
いつかの仕事仲間に恋とは何かと聞いたことを思い出した。
その時は何のことだかさっぱりわからなかったが、
「触れたらわかるよ」
なんて笑っていたのを思い出す。
「(そっか、私、オビのこと……)」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
Aと別れたあと、オビは夜風にあたりながら大木の上へと登っていた。
「あー……やっちゃったかな…」
Aよりも先に、オビは自分の気持ちの変化を理解していた。
最初から惹かれていたのだろう。
仕事の指示は素直に聞くくせに、無茶をするなと心配しても何のことかときょとんとする。
そんなところも放っておけなくて、いつの間にか常に目で追うようになっていた。
守られるだけじゃなくて隣に立ちたい。
そんな言葉を言える芯の強さ。
心配は絶えないが、そこも愛おしいと思ってしまう。
先ほども、あんなことするつもりはなかったのに、気が付いたらAを腕の中に閉じ込めていた。
簡単にドアを開けてしまうところも、思ったより細い体も、心配の種が尽きない。
無防備なAを見ていると、独占欲が爆発してしまいそうになる。
きっとAは自分の気持ちを理解する日は遠いだろう。
前途多難だな、とため息が漏れる。
「……よし、行きますか」
いつかのお嬢さんに言った言葉だが、窓辺で憂いているより行動派なのは自分も同じ。
明日からどんな困難が待ち受けているのか、行ってみないとわからない。
――― ならば、全力で守るまで。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
