第64話 ページ16
ひらひらと手を振ってAはその場を離れる。
しかめっ面をしたオビを見つけ、Aは「どうしたの？」とオビの元へ駆け寄った。
「いや…あんた、いつもあぁやって情報集めてんの？」
「え？なにが？」
「……はぁ、A嬢、もう俺のそばから離れないでね」
どういうこと？と首を傾げるAだが、オビはどう説明していいかわからずにため息をついた。
色時掛けのような真似はしてほしくないが、Aはそれを自覚していないのだろう。
わざとやっているのかもしれないが、それはそれで厄介なことだ。
とにかく、Aが他の男たちに笑いかけるのが気に食わない。
「…よくわからないけど、わかった。オビの近くにいるようにするね」
「うん、そうしてくれると助かる」
ほんとはちゃんとわかってほしいけど、とオビは思いながらも今はこれが精一杯だろう。
とにかくAから目を離さないようにしながら、二人は再び情報を集めるために行動を開始した。
蚊帳の外にされている巳早は何か怒っていたが、無視する二人の息はピッタリだった。
――― 10日後。
毎日のように聞き込み等の捜索を行うが、収穫なし。
オビは夜に、ゼンへ「収穫なし」とメモを残し、木の上で休憩をとる。
「参ったな」
ここまで何も無いとは、と思わず声に出た。
何も進まないまま、着実にタンバルン行きの日は近づいている。
オビには心配事がもう一つあった。
それは、Aのことだった。
朝は舞踏の練習や、夜会、城での作法を学ぶために白雪と行動を共にする。
飲み込みが早く、先生も許可を出してしまうので、昼にはオビと共に情報集めに町へ出ていた。
そして、いつ戦いになってもいいようにと鍛錬の時間を作っているのも知っている。
疲れるからいい加減休め、と言っても聞かないのだ。
それにあの小食。ろくな食事も取っていないのに一日中動いているには体も悲鳴を上げてしまう。
どうしたものか…と、頭を悩ませる種のひとつでもあった。
――― タンバルン行き前夜
「あっれ、木々嬢！ミツヒデさん！」
「おう」
「どこ行くんですか、こんな時間に二人して―――… ハッ」
「……何がハッだ」
月が高く上り、もう就寝の時間だろうというころにオビは木々とミツヒデに出会う。
いつものような冗談を冷たくあしらわれてしまった。
「ゼンの迎えだ。戻ってこないからさ」
ミツヒデの言葉に、オビは首を傾げながらも二人に付いていった。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
