第63話 ページ15
てことで、とAは舞踏の先生に挨拶を済ませる。
あれだけ踊れていれば、と先生も頷いていた。
「いやいや、A嬢もおとなしくしててほしいんだけど…」
「そう言われて、はいわかりましたって言うと思う？」
「……」
思えない、とは口に出さなくてもわかる。
Aはほらねと言わんばかりの笑顔だ。
「オビ…」
「仕方ない、A嬢も行きますか。じゃ、お嬢さん、頑張ってね」
Aに負けてオビはAと行動を共にする。
まぁ、何かあっても守ればいい、とオビは心に決めた。
白雪はそんな二人を心配そうに見つめるが、どう考えても今の自分にできることはない。
今やるべきこと、できること、それをやろうと覚悟を決める。
「うん」
やろう、と白雪は再び練習へと戻った。
「――― 13歳の髪を結った少年？」
「何、美形？」
心当たりないなぁ、と城の兵士が言う。
それに答えるのは城の服を脱ぎ、普段着で顔があまりわからないような服装に着替えたオビだった。
とある一座を名乗り、例の美少年が来たら引き留めるように兵に頼む。
また来るから、というお願いに兵は快く返事を返した。
「次だ。片っ端から船をあたる」
話が終わり背を向けると、オビは巳早に冷たく告げる。
少し離れたところにいたAも合流し、歩みを進めた。
城の兵、ましてや王子の側近とは思えない手段に巳早は疑問を持つ。
挑発するように「ゼン王子の側近なんですよね？」と言った。
「さぁ…どっちにしてもあんたがちょっかい出したら、その襟巻しめあげて山に帰してやるよ」
「……！」
「…ちゃんと周り見ててよね」
挑発に乗ることなく、ばかにしたような言い方をするオビ。
どちらも庇うことなく冷たく告げたAも、巳早をよく思ってはいない。
何やら口喧嘩をはじめた巳早とオビを無視して、Aは船乗りのひとりに声をかける。
「おーい、船乗りさぁん、ちょっといいかしら？」
ふふ、と笑って声をかける。
船乗りの男たちは「お、美人！」とすぐに下りてきた。
「――…というわけで、美少年、知らない？」
「知らんなぁ…美少年じゃなくて、美少女なら知ってるけどね」
「え？」
「ほら、目の前に…。君みたいな美少女のことならもっと知りたいなぁ」
そんな言葉が聞こえたオビは、「えっ」と振り向く。
だがAは全く相手にせずにただ笑っていた。
「ふふ、女の秘密は秘密のままがいいのよ？じゃ、もし見つけたらそれとなく引き留めてほしいの。また来るね」
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
