第59話 ページ11
ひとまず執務室へと戻ったゼン。
木々とミツヒデは巳早の対応に行き、まだ戻ってはいない。
ゼンはAへ声を掛けた。
「A、なにか狙われる理由とかわかっているのか？」
「うーん…まぁ、少しは…」
少しは、と言いつつ本当は嫌というほどわかっている。
この隠している瞳がどれほど珍しいのか、それは産まれた時からついてきた呪いのようなものだ。
だが、まだゼン達に打ち明ける勇気はまだ出てこない。
「その理由は、聞かせてくれるか？」
「……聞かせるほどのことじゃないよ。裏の仕事で色々やってきたし、どっかで恨まれてんのかな」
「A嬢はそんなことないと思うけど？」
「そうだといいけどね…」
ふっ、と自嘲気味に笑うAの表情に、ゼンもオビも顔を顰める。
だがAはそれに気付かないフリをした。
「とにかく、私より白雪だよ。私は自分の身はある程度守れるけど、白雪はそうじゃない」
話題を変え、真剣に話すA。
ゼンとオビは、白雪のことを考えて難しい顔をしながら押し黙る。
何せ、手掛かりが少なすぎるし巳早もすべて信用できるわけじゃない。
ひとまず、その美少年とやらを探し出すことが最優先だ。
あまり大ごとにはしたくない。
一部の兵と、オビとAが主体となり動くことに決めた。
＊
その夜、イザナに呼ばれたゼンと白雪は部屋の扉の前にいた。
なぜか追加でAも呼ばれ、何の話なのか全く見当も付かずにいた。
よし、と小さく呟いたゼンが扉を開ける。
一緒に中に入る白雪に続き、Aも恐る恐る室内へと足を踏み入れた。
「ああ、来たか。すまないな、こんな時間に」
振り向いたイザナが言う。
Aも緊張していたが、隣の白雪のほうが緊張しているのがありありと伝わってきた。
ゼンと同じ髪色が月明りに照らされて、キラキラと輝いている。
意外と綺麗な髪だな…とAは若干現実逃避していた。
「何の御用でしょうか、兄上」
「厳密に言えばお前に用はないんだが…呼ばないと怒ると思ってな」
「は？」
どういうこと、とゼンが言いかけた言葉を飲み込む。
スッ、とイザナの視線がゼンから白雪へと移された。
「白雪、久しぶりだね」
「…！、はい、イザナ王子」
「Aも、ね」
「は、はい！お久しぶりです、イザナ王子」
名前を呼ばれた白雪とAは緊張を隠しきれない返事を返す。
その様子を見て小さく笑ったイザナは、机上の書類に手を添えた。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
