第50夜 怪しい話 ページ2
―――― 王国クラリネス 近海
「本当かおっさん！？間違いなく赤い髪だったんだな！？」
「そーだよ」
「よっしゃあ！！」
船の上で男に詰め寄る少年が一人。
その少年の顔は誰が見ても美少年だというほどに整った顔をしている。
乱暴な言葉遣いが似合わないほどに。
「だが、見たっつっても随分前の話だぜ？港で軽く喋っただけだしよ」
「どんな様子だった！？連れは！？」
「…なんだあ小僧、その姉ちゃんに気でもあんのかぁ？」
「こっ…小僧じゃねぇ！！」
少年が尋ねる人物を見たという男。
どんな様子かと詰め寄るが、男は少年を揶揄うだけ。
真面目に聞いてんだよ！と怒りながらも話しかける。
「それと、青い髪だっけ？」
「そう！片目を隠してるんだ」
「青い髪なんて割といるけどなぁ。見たことねぇけど」
「…何だ、無いのか」
「二人も姉ちゃんおっかけてんのか？マセガキだなぁ」
「なっ、ガキじゃねぇ！！」
赤い髪の女を訪ね、青い髪の女も訪ねる少年。
再び揶揄われ、ぎゃんぎゃんと騒いでいた。
その会話を聞いている男がひとり。
長い髪を後ろでまとめ、長い襟巻をしている。
手に持った瓶を傾け、グビグビと中身を飲み干した。
コンッ、と音を立て船の淵に瓶を置く。
「なぁ、そこの坊主。赤い髪なら知ってるぜ…？」
男は美少年に話しかける。
知っているという男に、美少年は「本当か！？」と食いついた。
これはいい話だ、と男はニヤリと悪い笑みを浮かべた。
―――― 王城 薬室
「薬室長〜！」
「終わりましたよ、研究室の片付け…！」
ヘトヘトになった白雪達が戻ってくる。
お疲れ、と笑う薬室長のガラクは涼しい笑顔を見せた。
「ったく、丸一日かかったじゃないすか！」
「やー、助かった！ありがとう諸君！」
もう今日はあがっていいか、と疲れた様子。
ガラクは白雪を引き留めた。
「あぁ、白雪君は仮眠室にお客よ」
「へ？」
「君の仕事が終わるまで呼ばなくていいって仰ってねー」
ガラクの言葉に、まさか…と思いつつ、白雪は仮眠室に向かう。
仮眠室の中に入ると、そこには大切な人であるゼンが眠っていた。
「や、やっぱり。ゼンだった…」
仰ってって言ってたしな…とガラクの言葉を思い出す。
眠るゼンをしばらく見つめ、起こしてもいいか迷ったが声を掛けた。
「ゼン！おーい、白雪です。起きて！」
トントンと叩いてみるが、一向に起きない。
もう一度呼びかけたとき、ガシっと叩いた腕を掴まれた。
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Lily(プロフ) - 48、49話は前編のほうになります！続編は50話から始まります！ (2018年6月10日 0時) (
レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - campanaさん» campana様 ありがとうございます！話数でしたが確認したところ、48、49話を非公開にしたままでした…(-_-;)ご指摘いただき、ありがとうございます！公開設定に変更しましたので、お読み頂けたら幸いです。コメントありがとうございました！ (2018年6月10日 0時) (レス) id: 781d18f1a5 (このIDを非表示/違反報告)
campana(プロフ) - 続編おめでとうございます！あの前編では47話で続編に入っているのですが、48・49話が無いので気になっているのですが… (2018年6月9日 4時) (レス) id: 04f37541ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lily | 作成日時：2018年5月21日 2時
