番外編:白雪姫のお父様 ページ27
白雪姫の父である王様は、かつての愛する人、王妃様を亡くしてから城を出て仕事をすることが多くなっていた。
本来は、城にいながらも出来る仕事もあったのだが、城にいると愛する妻のことを思い出してしまう。
その悲しみに手が止まってしまうため、仕事の間は集中しようと外へ出ていたのだった。
愛する妻との間に生まれた、大事な娘を残して外に出るのは心配だったが、側近達が信頼できるため任せてしまっていた。
母の死を悲しむ娘を元気づけようと、似た女性を城に置き、王妃として白雪姫を任せている。
きっと女性同士、仲良くなってくれるだろうと思っていた。
娘である白雪姫が16回目の誕生日を迎えたあと、どうしても仕事で遠出しなくてはならなくなった。
今回は少し時間がかかってしまう。
そばにいてあげられないことを申し訳なく思うが、大丈夫と笑う白雪姫に見送られ、仕事先へと向かったのだった。
それからしばらくして、城に帰ったとき。
いつも迎えに出てきてくれる白雪姫がいないことに気が付き、疑問に思う。
「おかえりなさいませ、疲れましたでしょう?」
「……白雪姫はどうしたのだ?」
「…それが……っ」
出迎えに来た王妃に問う。
王妃は、顔を俯かせて言葉に詰まった。
王様は黙って王妃を見つめる。
「白雪姫は…森に遊びに行くと言って、そのまま戻りませんの」
「…なに!?」
王妃の言葉に王様は顔色を変える。
すぐに城に入り、白雪姫を探すように兵たちに命じた。
自分も探しに出かけようとするが、側近たちに止められて中々外に出られない。
白雪姫を探し始めて、一日、二日と日付が過ぎていく。
焦りと悲しみが日々募り、ただただ白雪姫の無事を祈ることしかできなかった。
それから数日が経ち、今日も見つからないのか…と窓から外を見つめる。
城の自室の窓からは白雪姫のお気に入りの庭が見える。
そこで遊ぶ娘の姿が見えるような気がした。
その時、バサッという音と共に、オレンジ色の鳥が窓辺に止まった。
「フリージア…どこへ行っていたんだ?」
その鳥は、王様と白雪姫のお気に入りの鳥。
よく一緒に遊び、白雪姫と歌い踊っていた。
ピピピッと鳴く鳥は、何かを訴えているようだが、言葉はわからない。
「すまんな、お前の言葉がわかるのは白雪姫だけだ…」
そっとフリージアの頭を撫でる。
鳥は、王様を元気づけようとしてくれているのか、ピピッと鳴きながら王様の手にすり寄った。
「愛しい白雪姫…どうか無事でいてくれ…」
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作者名:Lily | 作成日時:2018年2月16日 1時