赤髪の白雪姫と黒髪の白雪姫 (ページ24)

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２４　白雪姫ページ24

もう見れないのかと思ったその笑顔が再び見れたことが、とても嬉しい。
オビはAの前に立ち、そっと手を取った。

「俺と、一曲踊っていただけませんか？お姫様」

『オビ…えぇ、喜んで』

Aは笑ってオビの手を握る。

「オビ、普通はゼンが先じゃないのか？」

「えー？主はいいんじゃないですかー」

「不服そうだな」

『ふふっ、私はみなさんと踊りたいわ』

そう言って笑う。全く仕方ないな、とゼン達も笑った。
オビとAはくるくると楽しそうに踊っていた。

その様子を遠くから見つめる王様。
久しぶりに見た我が娘の笑顔を見つめていた。

――― 次の日の朝。

ゼン、オビ、木々、ミツヒデの四人は自国へ帰るため城の門にいた。
見送りに王様とAが来ている。
仲良く談笑するAと皆。その様子を見た王様が声をかける。

「…A、この方たちと本当に仲が良いんだな」

『えぇ、とっても素敵な方たちなのよ？』

「そうか。…かわいい私の白雪姫。一緒に行くかい？」

『え…？』

初めてのことだった。
今まで城に閉じ込められているように、外へ出してもらえなった。
出ていっていいのだろうか、と迷う。
王様は、そのことをとても後悔していた。Aの好きにしていい、と言ってくれる。

Aは迷うが、微笑むゼンやオビの顔をみて、ウィスタル城で楽しかったことを思い出す。

『私…、オビと一緒に…みんなと一緒に過ごしたい！』

初めて言ったワガママはすぐに叶えられる。
娘を城から出すのは寂しいが…と言いつつ、王様は快くAを送り出した。

それから、Aはウィスタル城で過ごすことになる。

それぞれが自分の道を切り開く。

幸せへの道を歩き出した。