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20 白雪姫 ページ20

「…A、本当にいいのか?」

「すぐに決めちゃって…大丈夫かい?」

心配するゼン達を安心させるように、Aは微笑む。
大丈夫よ、と笑った。

『勝手に決めてごめんなさい。でも…』

「わかった。俺達はAの意見を優先する」

『ゼン…ありがとう』

そうして、Aは王と王妃と一緒に帰ることになる。
王は城を長らく開けてしまったため、ゆっくりする時間もなくすぐに出発することになった。
もともと身一つで来たAは、ウィスタル城を出る準備もすぐに終わる。
仕事上、会えなかった白雪にも手紙を書き、ゼンに渡した。

帰る馬車で王と王妃が待つ。
Aは最後に、とゼン達に挨拶をする。

『勝手に来て、勝手に帰って…迷惑ばかりね。ごめんなさい』

「迷惑じゃないさ」

「そうだ、それに俺達は違う言葉を聞きたいぞ?」

『…!本当に素敵な人達ね。ありがとう!』

お世話になりました、と頭を下げる。
ひとりひとりと軽く抱きしめ合い、お別れの挨拶となった。

『落ち着いたら、遊びに来てもいいかしら?』

「もちろん!いつでも歓迎する」

『ふふ、ありがとう!みなさん、また会いましょう』

そう言ってAは馬車へ乗り込んだ。
御者が馬を動かし、ゆっくりと進む。
馬車の窓から身を出し手を振るAの腕から、チリン、と鈴の音が聞こえた。


「あーぁ、帰っちゃいましたねぇ」

「寂しそうだな、オビ」

「そりゃあ、もう。…というより、王妃が怪しすぎましたけど?」

「…そうなんだよな」

こうもあっさり行くものか、と考える。
でもAが信じたのだ。仕方ない、とゼン達は心配しながらも通常業務へと戻っていった。



――― 数日後。

城に到着する白雪姫たち。
ひとまずゆっくり休みなさい、と王に言われ久しぶりに自室へと帰った。
ふぅ、とため息をついてベッドに座る。
そのとき、コンコンとドアがノックされた。

「白雪姫、少しいいかしら?」

『王妃様?はい、今行きます』

少し話したい、と言う王妃と共に、王妃の部屋へと向かう。
座るように促された場所のテーブルには真っ赤なリンゴが置いてあった。

「つらい思いをさせてごめんなさいね、白雪姫」

『王妃様…やっと、優しい心を取り戻してくださったのね』

「えぇ、これからは本当の家族になれるようにがんばるわ。お詫びのしるしに、とても美味しいリンゴがあるのよ」

『リンゴ…私の大好きなもの、知っていたの?』

「えぇ、もちろんよ。さぁ、食べましょう?」

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:Lily | 作成日時:2018年2月16日 1時

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