１３ 白雪姫 ページ13
A達、白雪姫が楽しく過ごすある日。
白雪姫を追い出した王妃様は、ご機嫌な様子で久しぶりに鏡へと問いかけた。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰だい？」
「それは、白雪姫です」
「なに…！？」
鏡の答えに、一瞬にして表情を変える。
白雪姫は殺したはずだ！と怒った。
「いいえ、白雪姫は生きて恋をしています。その美しさは世界で一番美しい」
続けて鏡が答えた。
どういうことだ、と怒り狂う王妃様。
こうなったら、自分の手で殺すしかないと考えた。
まずは白雪姫がどこにいるのかを探さなければならない。
王妃は王様の元へと尋ねる。
王様は、白雪姫は森で行方不明になってしまったと信じ、捜索を続けていた。
「白雪姫は見つかったのかしら…？」
心配そうに、悲しそうな表情を作る。
白雪姫が心配で心配で仕方ない王様は、王妃をろくに見ようともしなかった。
その時、王様が捜索を依頼していたうちの一人が駆け込んできた。
「王様！ご報告が！」
「白雪姫が見つかったのかね！？」
「いえ、まだですが…とある国で、美しい少女がいるとの噂が。それが、白雪姫の噂そっくりなのです。」
そう、白雪姫の美しさの噂は城内から城外へと広がっていた。
白雪姫を捜索していた家来は、その噂を聞きつけたのだ。
きっとこれは白雪姫だと確信を持つ。
王様は、すぐにウィスタル城へと手紙を送った。
しめた、と思った王妃様。
よかったわ、と言って自室へと帰っていった。
そこで一つのリンゴを手に取る。
「鏡よ鏡、私の願いを叶えておくれ…！」
そして不思議な呪文を唱える。
手に持っているリンゴがキラキラと光り出すが、次の瞬間真っ黒に染まった。
そうして、徐々に赤い色を取り戻していく。
「ふふふ、これで準備は完璧だ。この世の美しさは私のもの…！」
王妃の歪んだ醜い笑顔が、魔法の鏡に映っていた。
――― 数日後。
ウィスタル城へ一通の手紙が届く。
”突然のご無礼をお許しください。
ある日、森へ行って行方不明になった娘を探しております。
雪のように白い肌、血のように赤い唇と頬、黒木のような漆黒の髪をもつ少女「白雪姫」
それが我が娘でございます。
その噂を、クラリネスの街で耳にしました。
もし本当に、娘がいるのなら、一目でいいから会いたいと願います。
無礼を承知で、この手紙が届く一週間後、お尋ね致します。
どうか、よろしくお願い申し上げます。”
これが、手紙の内容だった。
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作者名：Lily | 作成日時：2018年2月16日 1時
