寂しがりや狼 2nd (ページ4)

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30.ウソがつけないページ4

「いやー助かった助かった。最近肩が痛くてねえ」

「ばーちゃんかよ」

僕たちは今、肩が痛くてカバンが持てないという名目で学校の寄宿舎に向かっている。

切島にちょっと寄り道してもらって、着いたら傘を貸す作戦。

これなら彼に変なこだわりがあっても大丈夫。

鞄持たせてるのはいじめじゃないよ？相互ハッピーの為なんだ。

「つーか、ウソだろ？それ」

切島は呆れたように言った。

「何をバカな！」

「おめーがバカだよ！」

何故バレた。

「演技ヘタクソすぎ」

「…ま、バレたならいいや。
傘一個でもさ、僕のとこすぐそこだから途中まで一緒に行けば傘貸せるでしょ？そしたらどっちも濡れない」

「別にちょっとくらい濡れてもいいだろ？」

「おバカだなぁ。テスト前に風邪ひいたら大変でしょ」

「…そうだな。サンキュ」

彼は正面を向いたまま言った。耳が赤い。

「照れてるの？」

「聞くな！」

否定しないんだね。可笑しくて微笑んだ。

「着いた」

「案外歩くのな」

「敷地内って言っても雄英無駄に広いからね」

「無駄とか言うなよ」

屋根の下に入ってから鞄を受け取り、傘を持った手を出す。

「ん、貸す」

「悪ぃな。借りる」

ニッと笑った彼。

そのまま別れを告げようとすると

「…っ、アオイ…！」

「う、うん？」

急に名前を呼ばれて、驚いた。

「って呼んでいいか⁉」

「え、いいけど…」

「じゃあなアオイ！」

「あ、うん。ばいばい」

よくわからないけど、本人満足そうだしまあいっか。

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「そういや、お前って耳いいんだよな？どんくらい聞こえんだ？」

「うーん…まあ、イヌ科くらい？狼だし。犬笛ってのも聞こえると思うよ」

「へぇ～すげえのな！」

「そんなこと…ある」

「あるんかい」