寂しがりや狼 2nd (ページ1)

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27.職場体験ページ1

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トントン。

「失礼します」

事務所のドアを開けると、僕に指名をくれたその人が姿を現した。

「よく来たな」

ズンとそびえ立つその姿。

「カッコいいなぁ……ギャングオルカ」

体育祭が終わった後、僕に来た指名は225票。

2回戦負けの割にはよくもらった方だと思う。

その中に、彼がいた。

高校に入ってから知ったヒーローだったけど、強いしカッコいいから好きだ。

「今日からお世話になります、狼谷アオイです。

ヒーロー名"ウォルフ"。よろしくお願いします」

頭を下げると、静かだったサイドキックの人たちがワッと盛り上がった。

「シャチョー‼カッコいいですって！まだ10代の女の子にですよ‼」
「よかったですねシャチョー‼子どもたちに怖がられなくなる日も近いかも‼」

たしかにまだ15歳だけど、子供扱いしないでほしい…。

「うるさい！」

ボスの一声で静まる部屋。

「…ではまずこの事務所の活動内容について説明する」

貫禄あるギャングオルカにそうっと声をあげる。

「あの、聞きたいことがあるんですがいいですか」

「なんだ」

「どうして僕を指名してくれたんですか？大して目立ってない生徒に、No.10の貴方が」

「…俺は、お前は鍛え方次第でもっと強くなれると見込んだ。
己の強み弱みを理解し、己に適した戦い方を見つければより強くなれる。

その為に、ここで学んで欲しい」

「…かっ」

「「「か？」」」

「カッコいい‼ありがとうございます！よろしくお願いします！」

感動すぎて興奮する。

「ああ」

「シャチョーカッケェ！」
「さすがシャチョー‼」

「僕もギャングオルカが子供に怖がられないよう手伝います！」

「…そうか」

心なしか期待してそうに見える。

「まあいい。

準備はいいか、"ウォルフ"」

「はい！」

僕は元気よく返事をした。