【H×H】 彼女が蜘蛛の中枢にいる理由 ー出会い編1ー

【似た者同士】 ページ41

ーーーどうしたらいい？


俺はどうしたいんだろう。


ナナと今の距離感を保ったままでいくのか。
それとも距離感を詰めて行きたいのか。


心情的には圧倒的に後者だ。


だけど………どうすればいいかもわからない。




「…フィン、一般的にこういう時ってどうするのが正解？」
「お前たちの場合は一般的じゃねえよ………」
「じゃあどうしたらいいの？」
「女の落とし方は俺よりお前の方がわかってんだろ！！」




半ば逆ギレっぽくフィンに言われる。


確かにそうだ。

自分のどういう動作が相手のどういう感情を引き立てるのか。
全部計算ずくで行動できる自信はある。


でもそうじゃなくて。



「……ナナの前では素の俺でいたいから。」



そう呟くと、フィンに盛大なため息をつかれる。


計算された動きの俺に好意を持たせるならいくらでもプランは思い浮かぶ。
だけどそれじゃ意味が無くて。





本物の俺を見ていて欲しい。







「………そのままでいろ。………………………………一生両片思いってことはないだろ。」








フィンにそう言われる。

呟くように言われた後半部分は聞き取れなかったけど。


だけどそういう言い方をするフィンをいくら問い詰めても答えは得られない事は
今までの経験上、わかってる。





そう考えて、部屋を発とうとした時…………






「……フィン、今のオーラって。」
「ああ、間違いなくナナだな。」
「あの暴走の仕方、ものすごく心当たりがある。」



そう言いながら、パクノダに撃ち込んでもらった記憶を探る。
何がきっかけかはわからない。だけど………



「捨てられたって事を理解できるのは多分俺だけだよね。」
「……似た者同士、か。いいから早く行ってこい。」
「了解。」



そう言いながら、オーラの出現元へ向かう。

オーラの制御ができていない。



おそらくその理由は…………恐怖。
そしてナナの場合は、その原因は想像がつく。



捨てられた、ということは思いの外ダメージになる。

自分が必要とされていないっていうのを突きつけられたのと同じ事だから。





邪魔、必要ない。
そう言われるのがどれほど辛いか。





そして自分になんの価値もないと思ってしまった時。



恐怖が暴走する。




また捨てられたら？必要ないって思われたら？
そんな風に思考が回って行ってしまったのが容易に想像できる。




まあ、経験者は語るってやつ？
そしてそれを止められるのも経験者のみ。

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