#16 酸っぱい。 ページ16
…いけない、とりあえず飲み物買わなきゃ。
財布を開き、小銭を数枚自販機に入れていく。
ミルクティーを先に買ってから、何を買おうか考える。
…よし、おいCレモン炭酸にしようっと！
そこまで決めて追加の小銭を入れようとしたところで、
重要なことに気がついた。
「あ、」
…小銭、10円足りない。
あ
飲みたかった…けどもう仕方ない、水で我慢しよう。いま話題の水素水ダイエットだ、、、(違う)
無理やりダイエットにこじつけ、
諦めて天然水を買おうと、そのボタンに手を伸ばした、
そんな時だった。
「……へ？」
伸ばした手に温かみが被さって、動作が止まる。
そして銅色にかがやいたものがチャリンと音を立てて自販機へと入っていった。
ボタンを押しておいCレモン炭酸を取り出し、
自らの手に持つ、高身長の男の子。
「…はい、Aちゃんに。どうぞ」
「ありがと……フジ、くん」
お礼を言うと、ふわっと微笑まれた。
どきりと胸のうるささが増すのと比例して
ちくり、胸の苦しさも増す。
…皆に向けていた笑顔と一緒だった。
愛梨ちゃんに向けていた笑顔と、違った。
｢フジくーん！行こー！｣
｢あ、じゃあ呼ばれてるから、またね。Aちゃん｣
そんな私に追い打ちをかけるように、フジくんはふりふりと手を振って愛梨ちゃんの元へ走って行った。
…なんだ、もうわたしなんて要らないじゃない。
色男なんかにならなくても、愛梨ちゃんとフジくんは順調だ。もう付き合ってるんじゃないか、って思うくらいには。
｢…なに、気にすることなんて、ないでしょ｣
フジくんの恋も実る。
それに…いちいち旧校舎まで足を運ばずに済むじゃないか。
からかい半分、勢い半分で始めたんだからどうってことない。そう自分に言い聞かせた。
ベンチに座り緑のチャットアプリを開く。
"話があるから、また放課後集合でよろしくね"
それだけ打ち、送信ボタンを押す。
モヤモヤする気持ちを紛らわそうと、ペットボトルのフタを力任せに開けた。
プシュッ、と空気が抜ける音がして、黄色の炭酸を口に運ぶ。
｢……あれ、おいCはずなのに……
…ふふ、酸っぱすぎる…なぁ………っ｣
それに心なしか、なんだかしょっぱい。
…誰だよこの炭酸開発した人！
それが涙の味だとは露知らず、わたしは不満を垂れながら、ゆっくりそれを飲み干したのだった。
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あかぺそ(プロフ) - 美桜さん» 何度もコメントありがとうございます！！！ここまで来てリメイクになってしまって、美桜さん含め読者様には本当に申し訳がありません……; ;更新停滞するかもしれません、本当にごめんなさい、コメント励みに頑張って行きたいと思います！！ (2017年3月17日 7時) (
レス) id: c61139b82a (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 全部フジ君視点？は、何それ、最高すぎぃ！とても楽しみにしてます。大変かと思いますが、無理せず頑張って下さい笑 (2017年3月16日 13時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
あかぺそ(プロフ) - ai_さん» コメントもお褒めの言葉もありがとうございます！｢すごく好き｣と言っていただけて私自身とっても嬉しいです〜！！ありがとうございます; ;早めの更新もできるよう、日々頑張ります！ (2017年3月15日 7時) (レス) id: c61139b82a (このIDを非表示/違反報告)
ai_(プロフ) - この作品すごく好きです。リメイクも楽しみにしていますね。これからも更新頑張ってください！ (2017年3月14日 18時) (レス) id: baf56b1030 (このIDを非表示/違反報告)
あかぺそ(プロフ) - 美桜さん» 返信が遅れてしまい申し訳ないです；；ありがとうございます！引き続き頑張っていきたいと思います＾＾ (2017年3月14日 3時) (レス) id: fbf3dd707b (このIDを非表示/違反報告)
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