４．リクエストされるようです。 ページ6
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午前七時を少し過ぎた頃、お客様の来店を知らせる合図が店に鳴り響く。
こんなに早くからいらっしゃるお客様なんて一人しかいないけれども。
開店して早々に来てくださる常連さんだ。
「いらっしゃいませ＿＿中原さん。お待ちしておりました。」
ぺこりと一礼してからそう言う。いつもと違う私の挨拶が謎だったのか、彼の顔には不思議だと書かれていた。
中原さんはどうやら感情が顔に出やすいタイプらしい。意外である。
とりあえずいつものカウンター席へお通しして、いつもと同じく注文を取る。ふむふむ、今日はコーヒーだけか。ならこちらとしても都合が良い。
私はコーヒーを運ぶついでにカウンター裏に置いておいた黒いジャケットを入れた紙袋を取り出した。
「中原さん、この間はありがとうございました。こちらお返ししますね。」
そう言い紙袋を手渡す。とりあえずは第一の目的クリアだ。
そして彼はというと、「そういえばそうだった」といった表情を浮かべてから 照れ臭そうにそっぽを向いていた。可愛らしい人である。
ただ私の仕事はこれだけではないのだ。
「それで、この間送って頂いたこともありますし。何かお返しをしたいのですが……」
そう。お返しだ。私には常連さんへのお返しの方法が一切思い付かなかった為、「なら本人に聞こう！」と私の脳内会議は終了した。
まったくもって単純思考なことこの上ない。
「俺が好きでしたことなんだから気にすんな。いらねェよ。」
まぁ彼ならこう返してくるだろうなと予想はしていた。だからと言ってそう易々と引き下がる訳にはいかない。
私には私なりの意地があるのだ。
「お返しさせてください。」「いらねェ。」
このやり取りを十回ほど繰り返したときだった。遂に中原さんが折れたのだ！
「ああもう手前はなァ……ったく、じゃあ手前の手料理でいい。」
降参だと言わんばかりに溜め息を吐いた中原さんの意外なお返しの内容に、今度は私が不思議に思う番だった。
しかしやっと聞けた彼からのリクエストなのだ。全力で答えなければならないだろう。
明後日の閉店後にまた来ると言った中原さんはすっかり冷めてしまったコーヒーを勢い良く飲み干すと、お代を払って帰っていった。
彼は何が好きなんだろうか。聞いておけば良かった。モヤモヤとする私の思考は既に仕事から明後日作る料理に支配されていた。
さて。何を作ろうか。
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村人C - 神に祈りを(//∇//) (2022年6月8日 21時) (
レス) @page24 id: 22d4be940f (このIDを非表示/違反報告)
M - 凄く美しい（？）なんかもう言葉に表せない程好きです。神様素敵帽子君が尊すぎです。夢主の性格も可愛らしくて吐血しそうでした。もうトゥンクが凄いです！！ (2022年5月8日 15時) (レス) @page24 id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 否、可愛いから付き合いたいな。危険は重々承知してますが。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 『手前』ってか…可愛いね、中也ちゃん。 (2020年6月12日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる(プロフ) - Uヒさん» コメントありがとうございます！ご満足いただけたようで良かったです！ご愛読ありがとうございました！ (2020年4月28日 10時) (レス) id: 9e41ced277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あっぷる | 作成日時：2019年7月13日 2時
