ご褒美 ページ2
遂にむかえた莉奈の誕生日。
夜中に誕生日メッセージを送り終え、早朝にいつものレッスン室に移動した。
作戦通りに事が進む中、思わぬ事態が発生した。
「なぁ流星。
莉奈が乗ってる電車、遅延してるみたいだぞ。」
「皆で迎えに行くから流星はここにいて！
車はこいつが出してくれるみたいだからお気になさらず〜」
「おい、何でだよ！
ちょっと待っ･･ギャ〜！」
服を引っ張られ、連れて行かれるやつを拝み、俺は一人取り残されてしまった。
一人で何かサプライズしようかと考えていたら、ドアが勢いよく開いた。
「流星！」
聞き覚えのある声の主は、なんと莉奈だった。
莉奈は、レッスン室を見渡し、ふふっと笑うと俺の方に近づいてきた。
「私のために準備してくれたの？」
「あ･･･うん。
でも、あいつら、莉奈を迎えについさっき出て行ったんだけど。」
「あはは！！
流星、何にも聞かされてないんだね！」
莉奈がこんなに得意気に笑う理由は何なんだ。
「私が電車遅延して、皆が迎えに行って入れ違いになって、私がふらっと現れて、一人取り残された流星と二人っきりでラブラブしたいってシナリオ！」
「･･･はぁ！？／／／」
なんと、この誕生日計画は二重に仕掛けられていたらしく、どうやら俺が引っ掛かってしまっていたようだ。
「･･･あいつら、はめたな。」
「私が頼んだの。
せっかくの誕生日だから好きな人と二人っきりで過ごす時間が欲しい！ってね。
ふふっ、流星、色々考えてくれてありがと！
大好き〜！」
俺はいきなり莉奈に抱きつかれ、身動きが取れなくなった。
莉奈があまりにも可愛くて、キスしたい、と思った瞬間、迎えに行ったはずのやつらがその様子を窓からガン見。
「あいつら･･･」
「流星、手に持ってるそれは、手作り？」
「あ、これ、頑張って作った。
お誕生日おめでとう、莉奈。」
「ありがとう、流星！」
俺は、皆で協力して頑張って作ったブレスレットを渡した。
莉奈はとても喜んでた。･･･良かった。
「てなわけで、莉奈おめでとう！」
レッスン室に入ってきて拍手をしているやつらに俺がひと睨みした直後、
「これはお礼。受け取って･･･❤️」
顔を手で挟まれ、その方に顔を向けると、莉奈が唇にキスしてくれた。
俺は頭が真っ白になって周りのひやかしも耳に入ってこなくなった。
〜Fin〜
続く
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作者名：しぃ | 作成日時：2018年10月15日 23時
