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13話 ページ16

『……眩しい。』

浅い眠りはカーテンの隙間から差し込む朝日によって、いとも簡単に覚めてしまった。そういえば前ホテルで起きた朝もこんな目覚め方だったっけなぁ、なんて考えながら天井の木目を見つめる。

そういえばこの前の土曜日の朝、この木目を見つめながら先輩とどう接すればいいのかなんて不毛な事で悩んでたっけ。

その悩みの種だった男と、今は何もまとわぬまま同じベッド寝ているんだから人生は不思議だ。

仕事を頑張って奮発した少し高めのセミダブルベッドでも2人で寝るには狭すぎる。先輩はすやすやと寝息を立てたまま起きる気配もない。

前も思ったけどこの人眠り深いな。それにしても本当に綺麗な顔してるよね。さすが我が社の王子様。顔が神に愛されすぎてる。いや待って、まつ毛長。

いつか何かの雑誌のインタビューでどっかの詩人が「美しいものを見ていると詩興が湧く」とコメントしているのを見たが、案外その通りかもしれない。別に詩興は湧かないが先輩の顔を見てると褒め言葉しか出てこない。

『…いや、何してんだろ。私。』

徐々に頭が覚醒していくうちに、先輩の顔を見つめたまま窮屈なベッドに寝そべっている事に恥ずかしさを覚え始める。そうしていると、芋づる式に一緒のベッドで寝ているのにも羞恥心を感じ始めた。

シャワーでも浴びるか、なんて思いながらそーっと上体を起き上がらせた。その時、パシッと片手首を掴まれ、引っ張られる。

『ぎゃあっ!』

そのままベッドに倒れこみ、元の体勢に戻ってしまった。驚いて寝ていたはずの先輩の方を見れば、薄眼を開けて少し不満そうな顔をしていた。

「…もうちょっと、可愛い声出ないの?何、ぎゃあって。もう怪獣の鳴き声みたいじゃん…。」

『……起きて早々失礼な茅ヶ崎さん、おはようございます。あいにく怪獣はシャワーが浴びたいので離して頂けませんか?』

「俺、昨日素直に言葉にする所好きとは言ったけど悪口言っていいとは言ってないからね。」

はあ、とわざとらしくため息を吐くと先輩は私に抱きついてきた。

『えっ!?…あの、ちょっ、』

「寒いからしばらくこの状態でよろ。」

『は?え、あの困ります茅ヶ崎さ……。寝てるし。』

シャワー浴びたいんですけど、なんて呟いても起きるはずもないし、頭と腰に添えられた腕を振りほどく気力も湧かない。

仕方ないから先輩が起きるまでこの状態でいよう、と引き締まった胸板に軽く額を押し付けて目を瞑った。

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雪乃(プロフ) - 消しゴムさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年7月31日 3時) (レス) id: 66c51cba16 (このIDを非表示/違反報告)
消しゴム - 更新楽しみにしてます(*^◯^*) (2017年7月30日 8時) (レス) id: 4a07a21d32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪乃 | 作成日時:2017年7月25日 8時

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