3話.無駄な足掻き ページ3
目が覚めると僕は寝室にいたが
勿論どこも血で濡れていなどいない。
オチがわかりきっているとは言っても
…もうこの夢を見るのも限界だった。
今日一回目のため息が出ると
ヒロインの方を見た。
寝息も立てずに冷たい体は
僕に寄り添う形で眠っている。
ヒロイン、相変わらず君は可愛いね
でもそれはほんの一瞬だけの想い。
だってヒロインはもう息をしていないのだから。
始めはそんなことどうとも思っていなかった。
ヒロインがやっと手に入った。
それだけが、それこそが嬉しかったんだ。
ヒロインがぼくの事が嫌いだと
とっくに知っていた。
そんな事 死に際の彼女を
思い出せば容易に想像できる。
だからって今更現実に目を向けるだなんて
…全てを失ってしまった僕には到底できない。
.
.
「ヒロインは今どこにいる…」
思わず声が出てしまった。
そういう時は大抵僕の裏の顔が
言葉をチラつかせてくるんだ。
ーーーすぐ隣にいるじゃないか。
「違うッ！そういうことじゃあないんだ。
ヒロインの心は何処にいるんだ？」
ーーーそこまでして現実を見ていたいか
「わからない…わからないよッ！
でもこんなことばかりしていたら
なんだかとっても悲しくなるんだ」
ーーー心か…単純に考えるなら、天国だな………例えそうでなくとも
絶対にこの世界には居ない。
「天国に…僕も行けるのか。」
ーーーそんなの俺に問わなくたって
わかってるだろ。
「あ…あぁ………アハハハハハッ！！」
イ・ケ・ル・ハ・ズ・ナ・ド・ナ・イ
ーーーそんなことよりこの状況満足しようぜ
ヒロインの居場所を知るものなんて誰もいない。
そして彼氏を一方的に 男女男 って
やれるこの状況…
こんなのゾクゾクするしかないだろ？
それは僕が落ち込んだ時にそいつが、
かけてくる言葉だった。
さっきも言ったように僕はもう限界だ。
でも何故か僕はそいつに踊らされてしまう。
「【僕だけ】が知るヒロインの…こと」
ーーーまあお前がそこまで言うなら。
お前がこの世界にいる存在価値が皆無だな。
…いっそのこと息絶えようかな
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作者名：井萎 | 作成日時：2015年1月6日 2時
