三話 ページ4
草履を脱ぎ、敷かれた座布団に腰をかけた。
刀を抜いて右側に置く。
「Aは、実弥の事が嫌いなのかな?」
急にそんな事を聞いてきた。
『本心を申し上げても?』
「うん。いいよ。」
優しい空気を吸い込み、吐き出した。
『風柱さんの事は、嫌いです。何事でも一人で片付けようとする。そんな彼が、嫌いです。』
笑顔で言った。
そんな私に対して、お館様の表情は変わらない。
「そうなんだね。Aは、優しいね。実弥を助けてあげるんだよ?」
『は、はぁ。一応仲間なので、見捨てるつもりはありません。』
お館様と話が噛み合っていない。
私が、優しい?
風柱さんを助ける?
よく分からないな。
右側に置いてある刀を手に取った。
一礼してから、私は部屋を出た。
柱合会議の場所に、音柱さんが立っている。
相変わらず、派手派手だ。
『おはようございます。』
「おう!Aじゃねぇか!派手に久しぶりだな!」
『そうですね。音柱さんは元気でしたか?』
「あぁ!見ての通り派手に元気だ!」
音柱さんは派手派手柱だ。
常に派手に〜だ!とか、〜派手派手だ!とか、大きな声でしゃべる。
私は少し苦手だ。
音柱さんの事は嫌いではないが、声の大きい人が兎に角苦手。
だから、炎柱さんも例外ではない。
あの人も声が大きいから、まぁ、苦手なのである。
音柱さんと話していると、他の柱達もやって来た。
皆、元気そうでなによりだ。
「こんにちは。」
『あ、蟲柱さん。こんにちは。』
「Aちゃん!久しぶり!!!」
『恋柱さん。お久しぶりです。』
蟲柱さんと恋柱さんは私と同性。
柱の中で、この二人には何でも話すことができる。
二人は私を名前で呼んでくれるが、私は呼ぼうと思わない。
無論、他の柱達もだ。
深い理由があるため、私は名前呼びはやめている。
その話はまた別の話。
『お二人とも、元気そうでなによりです。』
「そう言う咲ちゃんも元気そうね!」
恋柱さんに抱き締められて、とても苦しい。
いいですね、羨ましい。
自分の胸を見て、密かに思った。
とても素敵なお二方と喋っていると、隠の方が一人の男の子を連れてきた。
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作者名:しば犬 | 作成日時:2021年2月20日 12時